文化財にも指定されるだけのことがあって、向瀧の全ての客室は間取りが異なっている。だが、そのことから、旅行会社の企画商品にうまくなじまず、1995年には旅行会社との契約を解除して、自らインターネット経由で情報を発信して集客する方法に切り替えた。そして、古い木造建築や会津の伝統料理、温泉を好む顧客にターゲットを絞った。建物も、料理も、接客も向上させていくために、日々、社員たちがサービスを磨き続けている。 こうした戦略が、東日本大震災後の時にどう機能したのか。今回は、向瀧の平田裕一社長に話を聞いた。 内藤 地震直後の営業はどう変化しましたか? 満室のはずがすべてキャンセルになりました 平田 会津若松市は震度6弱でした。市内はとてもひどい状況でしたね。マンションなどは足の踏み場がないほど物が散乱したそうです。道路も部分的に陥没していました。蔵の壁が落ちた所もありました。他の被災地に比べて、まだ良か