ブックマーク / realsound.jp (12)

  • 宮台真司の『シン・ゴジラ』評:同映画に勇気づけられる左右の愚昧さと、「破壊の享楽」の不完全性

    「行政官僚制の日常」と「破壊の享楽」 『シン・ゴジラ』(7月29日公開/庵野秀明監督)は想像外に興味深い映画でした。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』(2012年)以降の庵野秀明監督の不発ぶりに加え、特撮監督が『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』(2015年)で味噌をつけた樋口真嗣氏なのもあって、期待水準を高く設定していなかったこともあるかもしれませんが、間違いなくエキサイティングでした。 作は従来のシリーズと違って、ゴジラに主題的な重心がなく、かと言ってヒーローに焦点が当たる訳でもない。敢えて言えば「日の行政官僚制」が主人公で、そのパフォーマンスに焦点が当たります。その話は後で題にするとして、僕がこの作品を見る前に、どこに注目しようと思っていたのかについて話しましょう。キーワードは「破壊の享楽」になります。 この夏休み、僕の3人の子供たちは、AppleTVで利用できる定額制

    宮台真司の『シン・ゴジラ』評:同映画に勇気づけられる左右の愚昧さと、「破壊の享楽」の不完全性
    yohyouyohyou
    yohyouyohyou 2016/08/30
    https://pbs.twimg.com/media/CqaKg29VUAAVo0l.jpg 勇気づけられるなんて感想見たことないという人のために22日の読売1面コラム
  • 菊地成孔の『セーラー服と機関銃 -卒業-』評:構造的な「不・快・感」の在処

    誰が一番悪いのだろうか(=誰が一番偉いのだろうか) 既に公開されており、興収的にも批評的にも大変残念な結果を呈している作品などというのは世の中、掃いて捨てるほどある。高い確率で作もそうであろう。 そういった作品を、ここぞとばかりに石持て追うのは端的にいじめであって、一部の血に飢えた病者(言うまでもなく、過去、いじめにあった経験に根差した怨念が消え切っていない人々)にたいする、大いなるサーヴィスには成るかもしれない(特にネット批評という偏ったフォームの中では)、とはいえ言うまでもなく、そんな事をする奴は地獄行だ。無償ならばともかく、金をもらっていじめに加担するのだから。 だがしかし、繰り返すがこれは仕事であって、何かを書かなくてはいけない。とはいえ心にもないことを書いて取り繕ったり、アクロバティックな論法で煙に捲く、といった事も、スキルとしては出来なくもないけれども、あっというまに見透かさ

    菊地成孔の『セーラー服と機関銃 -卒業-』評:構造的な「不・快・感」の在処
  • 宮台真司の『岸辺の旅』評:映画体験が持つ形式のメタファーとしての黒沢作品

    まさにザ・クロサワ・ムービー 今回は黒沢清監督『岸辺の旅』(10月1日公開)を取り上げましょう。まず結論から言うと、彼の原点である『CURE』(1997年)から続くモチーフを反復しながらも、後味がすこぶるよろしいという意味で、万人に勧められる映画だと思います。 その一方で、革新的な作品が選出される、カンヌ映画祭の「ある視点」部門で、監督賞を受賞した理由も、よく分かります。つまり、黒沢清作品によく触れている人間からすると、「いつもの前衛的な黒沢ホラーだ」と思える作りでもあるのです。 実は僕、「感動的な映画だった」という人が多いので、「感動的な文芸作を撮るなんて、 堕落したのか」と、観るのに勇気が要りました(笑)。でも、観てみたらいつもの黒沢清でした。それなのにいつもの難解さがなくて、分かりやすい映画であるのに驚きました。 作は、湯香樹実による同名小説映画化です。失踪した夫・優介(浅野忠

    宮台真司の『岸辺の旅』評:映画体験が持つ形式のメタファーとしての黒沢作品
  • 『私たちのハァハァ』が“ファン向け映画”を超えた理由 プロデューサーが制作の裏側明かす

    福岡県北九州市に住む、ロックバンド・クリープハイプの熱烈なファンの女子高生4人が、自転車で東京のライブに向かう青春映画『私たちのハァハァ』が、9月12日より公開された。同作は、スペースシャワーTV開局25周年記念映画として製作されたもので、これまでクリープハイプのMVを手がけたほか、映画『自分の事ばかりで情けなくなるよ』でも同バンドとタッグを組んだ松居大悟監督がメガホンを取っている。プロデューサーを務めたのは、スペースシャワーネットワークに勤務し、『フラッシュバックメモリーズ3D』や『劇場版BiSキャノンボール2014』といった話題作にも携わってきた高根順次氏。音楽ファンの青春をリアルに捉えた映画として、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭などでも高く評価された同作は、どのようにして作られたのか。高根氏に、アイデアの発端から映画制作のプロセス、さらにはインディー映画でヒット作を生み出す意義

    『私たちのハァハァ』が“ファン向け映画”を超えた理由 プロデューサーが制作の裏側明かす
  • アイドルが売れるには厄介オタも必要!? 姫乃たまが濱野智史に“ガチ恋の心理”を尋ねる

    貴重な休日に呼び出した濱野智史さんに、「姫乃たまはどうしたら売れますかね」と聞くと、寝癖のついた髪を揺らして、えっと驚いてから「ああ、なんで売れないんですかね」と呟きました。そもそも売れる気はあるのかと、小一時間問いただしてやりたくなるような、ぼんやりした地下アイドルの私を前に「考えることは好きなんで大丈夫です」と言って頭を抱えてくれました。 いまはアイドルグループのプロデューサーとして活躍している濱野さんも、数ヶ月前までひとりのアイドルオタクであり、さらに数年前まではアイドル文化にあまり理解のない社会学者でした。「アイドルなんか全然好きじゃなかったですよ。童貞がアイドルの手を握りたいからCD買ってるとか思って、むしろ馬鹿にしてました。音楽チャートも握手会やった順になってるし」 最初にAKB48を好きになった時も、画面越しに眺めるだけで、現場に足を運ぶのは抵抗があったそうです。私も地下アイ

    アイドルが売れるには厄介オタも必要!? 姫乃たまが濱野智史に“ガチ恋の心理”を尋ねる
  • 5人の論客が語る、アイドルの現状と未来「これはもう完全に単なるブームを越えている」

    雑誌『週刊金曜日』の6月6日号“「アイドル」を守れ”特集を受けたトークイベントレポートの後編。前編【アイドル論者が語る“握手会と現場”の最前線「人の心は金で買えないけど、ヲタの心は“握り”で買える」】では、中森明夫氏と倉さおり氏が司会を担当。濱野智史氏、宗像明将氏、姫乃たま氏が登壇し、アイドル現場の最前線について語り合った。後編では、中森氏と倉氏が司会を継続。評論家の栗原裕一郎氏、ライター・物語評論家のさやわか氏、アイドル専門ライターの岡島紳士氏が登壇し、アイドル評論のあり方から、ネット時代における音楽・出版といったコンテンツ産業の難点、さらにはアイドルカルチャーの世界進出についてまで、広範に議論を展開した。 アイドル評論のあり方について 中森:今、アイドルってすごい人数がいるよね。 栗原:尋常じゃないですよね。下手すると数千人くらいいるんじゃないですか。このたびのアイドルブームで感心

    5人の論客が語る、アイドルの現状と未来「これはもう完全に単なるブームを越えている」
  • アイドル論者が語る“握手会と現場”の最前線「人の心は金で買えないけど、ヲタの心は“握り”で買える」

    雑誌『週刊金曜日』の6月6日号にて“「アイドル」を守れ”と銘打った特集を行ったことを受け、同誌で執筆したアイドル論者たちによるトークイベントが6月12日、荻窪ベルベットサンにて開催された。イベント前編では、アイドル評論家の中森明夫氏と、特集の企画協力をしたライターの倉さおり氏が司会を担当。社会学者/情報環境論者でありながら先日、新生アイドルグループ「Platonics Idol Platform」のプロデューサーとしても活動し始めた濱野智史氏、リアルサウンドでも執筆中の音楽評論家・宗像明将氏に加え、地下アイドル兼ライターとして活躍する姫乃たま氏が登壇。ライブ現場や握手会の最前線について、ざっくばらんに語り合った。 握手会と現場の最前線 濱野:去年の夏ぐらいに鎌倉でやったイベントでBiSと握手したんです。BiSって、あまりルックスを売りにするようなタイプではなくて、メンバー自身も「たまには

    アイドル論者が語る“握手会と現場”の最前線「人の心は金で買えないけど、ヲタの心は“握り”で買える」
  • 「初音ミクを介してローティーンにBUMPの歌が届いた」柴那典+さやわかが語るボカロシーンの現在

    柴那典×さやわか 『初音ミクはなぜ世界を変えたのか?』刊行記念対談(後編) 2014.04.15 19:45 音楽ライターの柴那典氏と物語評論家のさやわか氏が4月6日に五反田のゲンロンカフェで行ったトークセッション『★さやわか式☆現代文化論 第6回『初音ミクの真実!』さやわか×柴那典』の模様を取材。前編【初音ミクはいかにして真の文化となったか? 柴那典+さやわかが徹底討論】では、テレビ論や音楽ビジネスのあり方、電子音楽の系譜における初音ミクの存在について会話が展開した。後編では、教育の現場などに導入され始めているボカロの現状や、ヤンキー文化オタク文化について語り合った。 「初音ミクが『ここにいるんだよ』って歌うときのエモーションに中二病を感じる」(柴) さやわか:これはあえて聞きたいのですが、柴さんは初音ミクが将来的にもっと普及したら、紅白に出たりするようになるというふうに考えていますか

    「初音ミクを介してローティーンにBUMPの歌が届いた」柴那典+さやわかが語るボカロシーンの現在
  • 初音ミクはいかにして真の文化となったか? 柴那典+さやわかが徹底討論

    柴那典×さやわか 『初音ミクはなぜ世界を変えたのか?』刊行記念対談(前編) 2014.04.14 13:00 音楽ライターの柴那典氏が、初音ミクや同人音楽などボーカロイド文化の隆盛について、音楽史的な視点から考察した著書『初音ミクはなぜ世界を変えたのか?』(太田出版)が4月3日に発売された。今回リアルサウンドでは、同氏が先日4月6日に五反田のゲンロンカフェで行った、物語評論家のさやわか氏とのトークセッション『★さやわか式☆現代文化論 第6回『初音ミクの真実!』さやわか×柴那典』の模様を取材。テレビとネットの境目で発生しているコンテンツの移り変わりや、同人即売会におけるCDの売れ行きなど、様々な話題を存分に語り合った。 「30代より上と10代前半でものすごい文化の断裂がある」(柴) さやわか:こののおかげで、初音ミクについてわざわざ説明しなくても「読んでおいてね」で済むようになったので、非

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  • 「みんなが疲弊しないアイドル環境を作りたい」濱野智史が“厄介ヲタ”になりかけて決意

    気鋭の批評家/情報環境研究者でありながら、重度のアイドルヲタクとしても知られる濱野智史氏が、自ら総合プロデュースをする新規結成アイドルグループと、現在のアイドルシーンについて語るインタビュー後編。前編【批評家・濱野智史がアイドルプロデューサー宣言!】では、新グループの目指す方向性や、現在温めている計画について語った。後編では、ライブの現場での経験を通して得た知見から、現アイドルシーンの情勢について、独自の切り口で語り尽くす。 ――AKB48論者としても知られる濱野さんは、一昨年末の『前田敦子はキリストを超えた』出版以降のアイドル界の流れをどのように捉えていますか。 濱野智史(以下、濱野):AKB48に関しては、前回お話した「夢の行き詰まり」の話ともリンクしていて、やはり今の状況は決して楽観的に語れない部分もあるのかと思います。2月24日に行われる「大組閣祭り」には、ファンだけではなく、メン

    「みんなが疲弊しないアイドル環境を作りたい」濱野智史が“厄介ヲタ”になりかけて決意
  • 批評家・濱野智史がアイドルプロデューサー宣言! 新グループのコンセプトを明かす

    気鋭の批評家/情報環境研究者でありながら、重度のアイドルヲタクとしても知られる濱野智史氏が、新規結成アイドルグループの総合プロデュースをすることを発表し、その第一期生を募っている。情報環境に関する研究を専門としている濱野氏がプロデュースするというだけに、IT機器やWEBメディアを駆使した、これまでにないアイドルグループの結成が期待されているが、実際のところ、どのような構想が練られているのだろう。インタビュー前編では、アイドルグループを作ろうと考えたきっかけから、現在抱いている計画まで、大いに語ってもらった。 ——濱野さんはこれまでAKB48や地下アイドルの熱心なファンであることを公言し、『前田敦子はキリストを超えた』などの評論も発表してきました。それが今度、新規結成アイドルグループの総合プロデューサーをつとめることになった経緯とは? 濱野智史(以下、濱野):僕はこれまで評論家をやってきて、

    批評家・濱野智史がアイドルプロデューサー宣言! 新グループのコンセプトを明かす
  • 紅白「オワコン説」は本当か? 若手ミュージシャンの積極登用策を検証 - Real Sound|リアルサウンド

    今年も 恒例の紅白歌合戦が大晦日に放送される。64回目となる今回の放送にはサカナクションやmiwaといった実力派若手ミュージシャンに加え、アニメ「進撃の巨人」で一躍時の人となった音楽ユニット「Linked Horizon」、さらにアイドルからはSexy ZoneやE-girls、NMB48など初出場が総勢9組となる。和田アキ子や北島三郎などの大御所も健在だが、全体をみると若い視聴者を意識したラインナップといった印象だ。これは今に始まったことではなく 「紅白の若返り」はここ数年のトレンドとなっている。 さて、盛り上がりをみせる紅白について、先日「紅白はとっくの昔に死んだ番組」という記事が注目を集めた(『NEWSポストセブン』掲載)。同記事では紅白でしか観ることのできない大物ミュージシャンがほとんどいないこと、かつて80%を記録したような視聴率がもう取れなくなってきていることに触れ「賞味期限の

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