表現の不自由展・その後の中止に対する「ジェンダー平等」としての応答 「表現の不自由展・その後」が中止に追い込まれたことについて、「あいちトリエンナーレ2019」が掲げる重要な指針である『ジェンダー平等』の視点から芸術生産に従事する立場としての意見を述べます。 今回トリエンナーレ事務局に寄せられた多数の抗議や脅迫の対象の、主なもののひとつがキム・ソギョン、キム・ウンソンによる『平和の少女像』であり、この作品は1930年以降から太平洋戦争まで存在した旧日本陸軍、海軍による「慰安婦」制度下における過酷な経験と、その後に強いられた沈黙への告発が出発点となっています。政治問題として扱われることの多いこの問題ですが、本質は女性の人権問題であり、『平和の少女像』も反日プロパガンダのためではなく、被害者女性の類稀なる勇気をたたえ、彼女らの深い傷を公に認知し、市民に平和について考えることを奨励するという意図