今年に入り、京都アニメーション放火殺人事件や、犯行当時19歳の少年が起こした甲府市の放火殺人事件の公判で相次いで死刑判決が言い渡された。命を奪う「究極の刑罰」だが、国は死刑を巡る情報開示に消極的だ。外部との交流を厳しく制限された確定死刑囚への書面取材から、秘密のベールに包まれた極刑の裏側を見つめた。 ■獄中から届いた死刑囚の手紙は、丁寧な文字でつづられていた 〈毎日、自分が執行されるのではとおびえている。夜が明けるごとに脂汗をかき、針1本が落ちる音も聞き逃すまいと、職員さんの行動に異常なくらい敏感になり、朝食の味が分からないほど緊張する。朝が怖く、憎いとさえ思う〉 獄中から届いた10枚の便箋は丁寧な手書きの文字で埋まっていた。肉筆の主は西日本の拘置所に10年以上、収監されている60代の死刑囚。記者は獄中生活の実態や心情を知るため、支援者を通じて書面取材を申し込み、回答を得た。 文面で強調さ