有楽町にて。初日。スティーブン・ダルドリー新作。ジョナサン・サフラン・フォアの原作を映画化した作品で、個人的にも原作小説に思い入れがあったため、期待度が高い公開初日でした。911で父親を失った少年が亡き父の遺品を見つけ、その謎を解くためにニューヨークの街を走りまわる、という物語。原作を読んでしまっている以上、映画単体として見る、とらえることがむずかしい部分もあるのですが、長編小説が語れる内容と、映画が語れることの差についてもいろいろと考えながら見ました。 映画化された本作においてもっとも強調されているのは、911の悲劇性である。むろん原作においても911は悲劇なのだが、主人公の少年が抱える喪失感は、映画化によってより前面に押し出されている。原作における主人公の少年は、抑えることのできない知的好奇心とやみくもな行動力、傷つきながらもまだ保持されている無垢さ(イノセンス)が特徴だ。そこには、キ