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ブックマーク / d.hatena.ne.jp/zoot32 (49)

  • [映画]『シング・ストリート 未来へのうた』 - 空中キャンプ

    ステージ上でギターを鳴らし、「これは君の人生だ/どこへだって行ける(this is your life, you can go anywhere)」と歌うティーンエイジャーに対して、年長者が取れる態度はいくつかある。まずはその短絡さをたしなめること。人生の選択肢は限定されており、無限の可能性などありえないのだから、ものごとの判断は現実的かつ慎重であるべきだとアドバイスする方法である。しかしこれはいかにも退屈だ。十代が短絡的なのは当たり前で、それゆえに失敗するものだし、ある局面では、前へ進むために一度失敗しなくてはならない場合もある。かといって、かかるメッセージを信じていないにもかかわらず、ものわかりのいい大人を演じて「君はどこへだって行けるね」とうわべだけの同意を見せる姿勢はさらに耐えがたい。それは不誠実だし、子どもをばかにしている。では、十代の真ん中で夢を見る思春期の少年少女を描いた『シ

    [映画]『シング・ストリート 未来へのうた』 - 空中キャンプ
    yojik
    yojik 2016/07/13
  • 2014年の映画をふりかえる - 空中キャンプ

    みなさんこんにちは。このブログを書いている伊藤聡と申します。これから募集します「2014年の映画をふりかえる」は、今年見た映画のなかで好きだった作品を選んでもらい、全ての結果を集計することでランキングをつける企画です。地味に継続すること11年、毎年、どの映画がよかったかをみなさんに教えてもらい、リスト化してきました。今年も行いますので、映画ファンの方はぜひ参加してみてください。過去の結果は以下のようになっています。 2004年の映画をふりかえる 2005年の映画をふりかえる 2006年の映画をふりかえる 2007年の映画をふりかえる 2008年の映画をふりかえる 2009年の映画をふりかえる 2010年の映画をふりかえる 2011年の映画をふりかえる 2012年の映画をふりかえる 2013年の映画をふりかえる この企画にはコンセプトがありまして、今年よかった映画を挙げ、いいところをみんなで

    2014年の映画をふりかえる - 空中キャンプ
    yojik
    yojik 2014/12/15
  • 『紙の月』 - 空中キャンプ

    人間関係において、他者に何かを与えるということが、いまだによくわからない。自分は長らく、与えることのできる人間になるべきだと考えてきた。見返りを期待することなく与える姿勢を持つ必要があると。純粋に、贈与をしたいという感情の発露として、与える側の人間になれないものかと思案してきたが、そのような考えはやや単純だったし、与えさえすればいいというものではないらしいと気づくまでに時間がかかってしまった。仏民族学者、マルセル・モースの『贈与論』は、世界のさまざまな民族、共同体における贈与の形態を研究したテキストだが、同書では「どんな社会においても、贈り物の性質の中には期限付きでそれを返す義務が含まれている」「十分にお返しをする義務は強制的なものである」と論じられている。モースが正しいとすれば、どうやら、返礼を欠いた贈与は両者の関係を破壊してしまうらしい。 銀行で横領した巨額の金を、恋人との逢瀬でひたす

    『紙の月』 - 空中キャンプ
    yojik
    yojik 2014/11/25
    空中キャンプさんの映画評、あいかわらず美しい
  • [映画]『ゼロ・グラビティ』 - 空中キャンプ

    内容に触れているので、未見の方は注意 コーマック・マッカーシーの小説『ブラッド・メリディアン』(早川書房)でもっとも印象に残っているのは、男たちが砂漠をひたすら移動しつづけるくだりだ。暴力的な描写の多い作品だが、もっとも身に沁みて過酷であると感じたのは、直接的な暴力よりも砂漠の移動場面だった。貴重な飲み水が尽き、飢えと乾きに苦しめられながら、砂ばかりの土地を移動するほかない男たちの姿を想像するにつれて、読んでいるこちらまで喉がからからになるような感覚がもたらされるのだ。水が飲めないことの恐怖が迫ってくるようだった。むろん、これは作者の筆力に拠る部分が大きい。このような感覚を、文章を通じて読者に与えることのできる書き手は限られるだろう。読了後、蛇口をひねれば清潔な水が出てくる自分自身の環境が、何か信じられないことのようにおもえたのを覚えている。 感覚に強く訴えるタイプの作品は記憶に残る。僕に

    [映画]『ゼロ・グラビティ』 - 空中キャンプ
    yojik
    yojik 2013/12/17
  • 2013年の映画をふりかえる - 空中キャンプ

    (写真は「ふりかえる」企画のマスコットキャラクター、オリーブさんです) みなさんこんにちは。このブログを書いている伊藤聡ともうします。2013年におもしろかった映画について語る「ふりかえる」をしますよ。この企画もついに10年めになりました。根気のない僕の人生で、唯一10年つづいた行為、それがこの企画なのであり、年も行いますので、映画が好きな方はぜひ参加してください。参考として、昨年までの結果がこちらです。 2004年の映画をふりかえる 2005年の映画をふりかえる 2006年の映画をふりかえる 2007年の映画をふりかえる 2008年の映画をふりかえる 2009年の映画をふりかえる 2010年の映画をふりかえる 2011年の映画をふりかえる 2012年の映画をふりかえる 今年よかった映画を挙げ、いいところをみんなでほめるのが例年の趣旨です。おもしろかった映画のどこかどういう風に好きなのか

    2013年の映画をふりかえる - 空中キャンプ
    yojik
    yojik 2013/12/17
    今年も終わりだなぁ
  • 『そして父になる』 - 空中キャンプ

    yojik
    yojik 2013/10/13
  • 病院の人すごいがんばってる - 空中キャンプ

    まず最初に症状があったのは10/20(土)の朝で、仕事へ出かけようと電車に乗ったあたりで強めの腹痛がきた。前日夜にカレーべてからビールを飲んだので、胃がもたれたのだろうとおもったが、あまり経験したことのないもたれ感で非常にだるく、仕事先でもほとんど机につっぷしながら作業するという状態だった。実はこのときすでに虫垂炎(=盲腸)だったのだが、社畜らしくソルマックなど飲みながら、どうにか終業まで働いたのであった。その後、体調はすぐれないながらも、渋谷の映画館で『エクスペンダブルズ2』を見たりしており、自分の鈍感さにはあきれるばかりだ。最強の傭兵軍団の映画を見つつも、自分は虫垂炎で完全に弱り切っており、子犬とたたかっても負けるであろう最弱のコンディションであった。 10/21(日)、朝から腹痛は続いているにもかかわらず、薬局で胃腸薬を買って飲んでから、近所の大学で行われていた海外文学関連の講演

    病院の人すごいがんばってる - 空中キャンプ
    yojik
    yojik 2012/10/25
    日進月歩だなー。父が入院してた所はバイタルサイン用モニタは無線で集中監視、点滴交換はバーコードでチェック+忙しくても必ず他の人を呼んでチェックしてもらう運用で、凄くしっかりしてるなと思った記憶ある
  • 『アベンジャーズ』を見たゼ! - 空中キャンプ

    歌舞伎町にて。マーベルヒーローが大集合するお祭り映画として、ちょっと考えられないほどのクオリティに達したゴージャスな一でした。たのしかった! 各キャラクター作品のエンドクレジット後、ニック・フューリーがスカウトしにくるおなじみのくだりを何年もかけて見せていくことで、観客は「どんな映画になるだろう」と期待がどんどんふくらんでいったわけですが、その過大な期待へパーフェクトに応えた点が感動的です。むろん作りは緻密ですが、エンターテインメント作品のため、あまり分析的になってもしかたがないので、個人的に感じたことをいくつか書きます。 何より、画面全体を覆いつくす想像力の跋扈に圧倒される。カッコよくて、怖くて、近寄りがたく、奇妙なフォルムをした、わけのわからない異形の者たち(実際に劇中、彼らは “freaks” <奇形>と呼ばれもする)。彼らスーパーヒーローが画面をかけまわるたびに、観客は「いま、と

    『アベンジャーズ』を見たゼ! - 空中キャンプ
    yojik
    yojik 2012/08/21
    箴言! > "子どもにとって、ビームやバリア、変身について考える時間はきわめて重要"
  • 『なぜ古典を読むのか』/イタロ・カルヴィーノ(河出文庫) - 2012-06-07 - 空中キャンプ

    yojik
    yojik 2012/06/08
    "古典を読むことは集団的無意識へのアクセスでもあって、それはすでにわれわれの内部にある=読んだことがあるに等しいのではないか? と納得させられるのだ。"
  • プレゼント - 空中キャンプ

    12月に生まれていちばんくやしいのは、誕生日のプレゼントと、クリスマスのプレゼントをまとめられてしまうことだ。毎年この日がやってくるたびに、せめてあと一日、生まれるのが早かったらと私はおもう。これが11月30日なら、もしかするとふたつのプレゼントは別々に渡されていたのかも知れないのだ。哀れな12月1日生まれの私は、誕生日とクリスマスのプレゼントを別々にわけてもらえるよう、夏の終わりぐらいから、周囲に対してそれとなく伏線を張っていた。8歳にしてはぜいたくだけれど、私は自転車とカメラが欲しかった。誕生日に自転車、クリスマスにカメラ。自転車で遠くまで走っていって、そこで見た風景をカメラに収めたかったのだ。それができたら、もうしばらくはなにもいらないとおもっていた。 「まとめるわよ」と、12月9日生まれのお母さんは笑いながらいった。「自転車とカメラなんて、いっぺんに買ってあげられるわけないじゃない

    yojik
    yojik 2012/05/18
    "私の住む家には、東京でいちばん広い庭がある。だから、どこまで走っていってもきりがない。"
  • 『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』を見たゼ! - 2012-02-18 - 空中キャンプ

    有楽町にて。初日。スティーブン・ダルドリー新作。ジョナサン・サフラン・フォアの原作を映画化した作品で、個人的にも原作小説に思い入れがあったため、期待度が高い公開初日でした。911で父親を失った少年が亡き父の遺品を見つけ、その謎を解くためにニューヨークの街を走りまわる、という物語。原作を読んでしまっている以上、映画単体として見る、とらえることがむずかしい部分もあるのですが、長編小説が語れる内容と、映画が語れることの差についてもいろいろと考えながら見ました。 映画化された作においてもっとも強調されているのは、911の悲劇性である。むろん原作においても911は悲劇なのだが、主人公の少年が抱える喪失感は、映画化によってより前面に押し出されている。原作における主人公の少年は、抑えることのできない知的好奇心とやみくもな行動力、傷つきながらもまだ保持されている無垢さ(イノセンス)が特徴だ。そこには、キ

    yojik
    yojik 2012/02/19
    > "原作者のJSFは「ユーモアだけが悲しい話を真実として伝えられる」と語っており、喪失感は笑いによって減退することはなく、むしろ強調されるのではないかと考える。"
  • 『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』/ジョナサン・サフラン・フォア - 空中キャンプ

    小説家ジョナサン・サフラン・フォアの新刊。とてもすばらしい小説でした! 映画『僕の大事なコレクション』(’05)の原作『エブリシング・イズ・イルミネイテッド』などで知られるJ.S.フォアですが、今回のテーマは911テロ。事件からちょうど十年というタイミングで翻訳が出版され、作品を読み進めながら、この十年でどのように世界が変化したのかをふりかえるきっかけになりました。 物語は、911テロで父親を失った少年オスカーを中心として語られる。父親の死後しばらくして、彼は遺品が置かれた部屋で謎の鍵を発見する。自宅にあるどの鍵穴にもマッチしないこの鍵は、いったいなにを開くことができるのだろうか? オスカーは鍵の秘密をさぐるべく独自の調査を開始する。同時に、かつてドイツに在住しドレスデン爆撃から逃れるべく渡米したオスカーの祖父と祖母の過去が挟み込まれ、小説は911とドレスデン爆撃の双方を往復しながら進行

    『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』/ジョナサン・サフラン・フォア - 空中キャンプ
    yojik
    yojik 2012/01/16
  • 『50/50 フィフティ・フィフティ』を見たゼ! - 空中キャンプ

    yojik
    yojik 2011/12/03
    バスとか電車に1人で乗るシーンが、なんとなく好きだ。
  • 『トランスフォーマー ダークサイド・ムーン』を見たゼ! - 空中キャンプ

    新宿にて。マイケル・ベイ新作。シリーズ3作目、予告編の迫力には興奮させられましたが、編もやはり映像のクオリティに驚きました。感想を書くタイミングがやや遅れてしまったので、内容を作に限定せず、「わたしにとっての『トランスフォーマー』とはなにか」について書きたいとおもいます。 『トランスフォーマー』シリーズに対して、アクションシーンの撮り方がガチャガチャしているだとか、アップが多すぎて全体のアクションが把握にしくい、敵が大量に現れすぎてどの敵が誰なのか区別がつきにくいといった意見は多い。これらの問題はシリーズを重ねるに連れて解消されてきているのだが、しかしわたしはかかる欠点を認めた上で、この『トランスフォーマー』シリーズを応援したいとおもうのだ。なぜならこの映画は、自動車やトラック、ヘリコプターがロボットに変身する映画であり、変身したロボットたちがミサイルを出したり殴り合ったりしながら戦う

    yojik
    yojik 2011/08/16
    > "監督のマイケル・ベイはすでに46歳。46歳の中年男性が「どうやったら自動車がカッコよくロボットに変身するか」という映像を作ることに必死になっている、その事実にわたしは感動するのである"
  • [映画]『コクリコ坂から』を見たゼ! - 空中キャンプ

    yojik
    yojik 2011/07/17
    > "吾朗氏の描くテーマは今回もやはり「父親」なんですよね。これだけは変わらない。当然ですが彼は「父親とは何か」を描き続けるしかないわけです"
  • http://d.hatena.ne.jp/zoot32/20110608

    yojik
    yojik 2011/06/09
    面白そう。
  • 小さき声の者たちへ──キングス・オブ・コンビニエンス - 空中キャンプ

    高校時代からハタチくらいまでのあいだ、ずっとイギリスのネオ・アコースティックやギターポップといったジャンルのレコードを聴いていたせいで、いつまでたっても好きになるのは、静かで線の細い音楽ばかりだ。とはいえ、むろん骨太な音楽がきらいなわけではないのだが、思春期に決まってしまった価値観はなかなか揺るがず、ほんとうに自分が好きな音楽を挙げていくとどうしても当時好きだったものがベースになってしまう。そしていま、たぶん2ヶ月くらい前からとつぜん、ノルウェーの2人組ギターポップグループ、キングス・オブ・コンビニエンスに夢中になり、毎日彼らの曲を聴いています。 わたしにとってのネオ・アコースティックは、なにより「声が小さいこと」を無条件に肯定した音楽だった。そしてそれは、なにかすごい達成のようにおもえた。声が小さい人たちによる音楽。だからこそ、彼らの儚げなサウンドは当時高校生だったわたしをあれほどに奮い

    小さき声の者たちへ──キングス・オブ・コンビニエンス - 空中キャンプ
    yojik
    yojik 2011/02/22
  • 2011-01-31 - 空中キャンプ

    yojik
    yojik 2011/02/01
    みたくなった > "アメリカとロシアのスパイが「この業界いろんな奴がいたよな…」と懐かしい話でもりあがってしまうなど、ストーリーにおける時間の経過が如実に感じられておもしろかった。"
  • 2010年の映画をふりかえる/結果発表 - 空中キャンプ

    (写真は「ふりかえる」イメージキャラクターのオリーヴさんです) こんにちは、このブログを書いている伊藤聡ともうします。さて、先日からおこなっていた「2010年の映画をふりかえる」回答募集がようやくまとまり、今年いちばんおもしろかった映画ベスト10が決定しましたので、これからご紹介したいとおもいます。いまとなってみれば、「夏がなんかすごく暑かった」くらいしか記憶がない2010年ですが、映画はどれも見ごたえのあるものばかりでしたので、年末年始のDVD鑑賞にも参考になるかとおもわれます。このような質問内容でした。 名前/性別/ブログURLもしくはTwitterアカウント 2010年に劇場公開された映画でよかったものを3つ教えてください 2で選んだ映画のなかで、印象に残っている場面をひとつ教えてください 今年いちばんよかったなと思う役者さんは誰ですか ひとことコメント 今回の参加者は、トータルで1

    2010年の映画をふりかえる/結果発表 - 空中キャンプ
    yojik
    yojik 2010/12/29
    "やっぱり今年はエビの年!(略) これも最高におもしろかったー! 今年エビちゃんは結婚し、エビ蔵は大ケガ、そしてエビ星人はヴィカスと手を組んで人間と戦う…。必見のSFアクションエビ映画です "
  • 『切り取れ、あの祈る手を』/佐々木中 - 空中キャンプ

    先日、ラジオ番組「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」の推薦図書特集で宇多丸さんが紹介されていた、佐々木中(あたる)さんの著書。お話を聞いて興味を持ち、読みました。抽象的な内容もあるていどはありますが、基的には誰にとっても読みやすく、理解しやすいものになっていたとおもいます。〈読む〉という行為の可能性を真摯に追求した、とてもシリアスな一冊なのではないでしょうか。佐々木氏の熱い思いが感じられる、パワフルな書物でした。 わたしにとってこのテキストは、文学の可能性を再確認する力強い宣言であると同時に、たいへん耳の痛い諌言でもあった。なぜなら、佐々木氏が批判する「情報によって病み貧弱になった者」「情報という強迫観念に怯え切った者」とはまさしくわたし自身のことだったためである。あらゆる小説を読みたい、あらゆる映画を見たいという果てのない欲望はわたしのなかに確実に存在する。このは、かかる

    yojik
    yojik 2010/10/25