仕事は出版関係で、余暇は新宿ロフトプラスワンに出入りし、飲み場はゴールデン街……という青春時代を経て、今ではすっかり俗物的な人間に仕上がってしまったわたしには、ひとつ反省することがあります。それは仕事で、飲み場で、度々出会う“名前のある男性”を、過剰にチヤホヤしすぎたのではないかということです。 “名前のある男性”とは作家だったり映像監督だったり漫画家だったりカメラマンだったりの、いわゆるクリエーターという職業に属する人々で、わたしは多感な時期に彼らの作品を目にしてずっと憧れていたし、例えその人が手掛けた作品をあまり知らなくても、名前があるというだけで、十分に尊敬の対象に成り得た。 “名前のある男性”と出会ったら だから、そういった人と出会う場面があったら、強制されたわけでもないのに隣に座って身体を押し当て、「面白かったです~!」「素敵でした!」などと氏の創作物を褒めちぎり、なんなら脱ぐ。