行かねばならない。 誰かの為ではなく、自分自身のために。 歩こうと思った。 叶うならば走ろうと思った。 歩けばどこかに辿り着く。 走ればより早く着く。 それを信じていた。 歩けばどこかに行ける。それを信じると言うことは、歩かなければ何も起きないと思い込む事だった。ずっと止まったままで居られる。何も変化は起きない。そう信じていた。信じるだけだった。何も考えはしなかった。一度として考えた事も、想像した事も無かった。だから僕は歩かなかった。走るだなんてとんでもなかった。一歩も動かなかった。微動だにしなかった。そうすれば、全てが止まって見えた。何も変わらないはずだった。けれどもカーテンの奥の窓の外側で、世界は止まらず動いていた。誰かは走り、誰かは戦っていた。それに気がついて、僕は困った。焦りを覚えた。そして自分に問いかけた「どうすればいいんだ」と。 どうもこうも無かった。僕には何も無かった。これま