あまりに斬新だった清少納言の視点 清少納言の風景を切り取る視点が実に斬新であることを説明しましょう。 たとえば、私たちが「春で最も感動的な風景を一つあげてください」と人に言われたとします。あなたは、どんな風景をあげますか? 多くの人は「桜の咲き乱れた風景」と答えるでしょう。私もむろん、その風景を例示しそうです。絢爛豪華に咲き乱れる桜の美しさは、何といっても感動的ですからね。 でも、清少納言は、春で最も感動的なのは「あけぼの(=夜明けの頃)」と言います。時間の観点から切り取った風景を提示する。思わず「えっ」と意表を突かれます。 山ぎわがだんだん白んでいって、やがて空がほんのり明るくなって、紫がかった雲が細くたなびいている。最高よね、なんて言う。風景といっても、刻々と変わりゆく自然美をあげるのです。だから、ものすごく新鮮。 続いて、夏で一番感動的な風景は「夜」、秋は「夕暮」、冬は「つとめて(=