ODAは、その実態を正確に理解されぬまま悪者扱いされることが多い。その「悪玉論」がいつごろから、どのような経緯で形作られていったかについては、稿を改めて解説したいと思っている。その前段階として、まずは「ODAとは何か」という基本的なところから説明していきたい。 「先進国の援助クラブ」入りから始まった ODAとは「政府開発援助」を意味する英語の頭文字から取ったものである。日本がその活動に加わったのは1964年。アジアにある先進国として初めて、フランス・パリに本部があるOECD(経済協力開発機構)に加盟し、その下部組織で、“先進国の援助クラブ”と称されるDAC(開発援助委員会)に仲間入りした時からである。日本はこの時から一種の紳士協定とも言えるDACの規範に従うことになった。 OECDによると、途上国援助を先進国からの資金の流れと見て、その全体を「経済協力」としてとらえ、3つに大別している。