祖父が亡くなった。 数年前から入退院を繰り返しており、たまに発作も起きて、病院に迷惑を掛けていると聞いていた。 また入院することになったから、見に行ってやってくれと親から言われていたが、何かと理由を付けて行くのを先延ばしにしていた。 体調が落ち着けば行くつもりだった。何より、入院している祖父の姿を見たくなかった。 何かあったところで、自分には何もできず足手まといだ。荷が重い。そう思っていた。 祖父はそれほど遠くないところに住んでいて、行こうと思えばすぐ行けた。 最後に会ったのは正月明けだった。 ただなんとなく顔を見せて、お菓子を食べながら夕方のニュースを見て、すぐ帰った。 「またおいで」と言われたのが最後だった。 数日前まで、あんなに会うのをためらっていた自分を恥じた。もっと会って、いろいろな話をしておくんだった。 「おじいちゃんはあなたを一番かわいがっていたんだよ」 葬式で何人かにそう言