AFP=時事 国際政治には、その時々の人々が共有する判断、いわば常識がある。なかには残酷な選択やモラルに反する議論もあるので表だって語られるとは限らないが、常識に反する議論をすれば相手にされないから、常識に従うことになる。ところが、その常識が正しいとは限らない。 アメリカを中心とする諸国がイラク侵攻を準備していた2003年、マスメディアから官庁・大学にいたるさまざまなところで、フセイン政権は力で倒すほかにない、誰でもわかっていることだと語られていた。特定の新聞社やテレビ局に限ったことではない。紙面や番組では戦争に反対しているように見える会社でも、イラク介入の必要性は疑う余地のない常識として語られていた。 私は、イラク介入は不必要だ、要らない戦争を戦ってはいけないと考えていた。不必要で愚かな戦争の開始を黙って見ていることは私にはできなかった。だが、イラク介入に反対すると、必ずといっていいほど