マウンドを降りる渡辺俊介の表情はどこか、涼しげに見えた。 9月26日、メリーランド州ウォードルフという合衆国東部の田舎町。1勝2敗と後がない状況で迎えた独立リーグ、アトランティック・リーグの地区シリーズ第4戦に先発した渡辺は、5回7安打2失点で降板した。 「……まあこれで、ランカスターでのピッチングは最後になるんだなぁ、と負けた時に思いましたね。去年から一緒になってる仲間とか監督とかコーチとかと野球をやるのもこれで最後か、と」 感傷的になってもいい瞬間である。だが、渡辺はこう言ってとても爽やかな笑顔を見せるだけだった。 「ただ、またこれですぐベネズエラが始まるのか、と慌ただしい感じもします」 39歳の独立リーガーに、休みなどない。 「最後の悪あがきをしてきますよ」 最後の悪あがき、とはもちろん「メジャー挑戦」への“悪あがき”である。 37歳でメジャー挑戦、来年40歳。 「アメリカの独立リー
![ベネズエラで輝いたサブマリン。元ロッテ・渡辺俊介の「野球人生」。(ナガオ勝司)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/154768d8c11581cd56059a89b434a4af4eff8044/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fnumber.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2Ff%2F9%2F-%2Fimg_f9aa4f6fde5ba902a657f059cf57914f96738.jpg)