『葬式は、要らない』は30万部のベストセラーに 私は、2010年に『葬式は、要らない』(幻冬舎新書)という本を出版した。事前には予想もしなかったことだが、この本は30万部のベストセラーになった。当時、私がこの本を書こうとしたのは、葬式をめぐる状況が大きく変わりつつあるのを感じていたからである。 たとえば、無縁社会のところでふれた直葬の存在を知ったのも、本を執筆する直前のことだった。そこまで葬式は簡略化できるのか、私は直葬の存在を知って驚いた。その頃にはまた、「家族葬」という葬式のやり方が広まりつつあった。 それ以前にも、近親者だけが集まって営む「密葬」という葬式のやり方はあった。ただ、密葬の場合には、その後に、参列者を招いて偲ぶ会を開くことを前提にしていることが多かった。密葬だけで終わるわけではなかったのだ。 ところが、家族葬の場合には、家族や近しい親族、故人の親友などが参列するだけで、規