この数ヶ月間に読んだ本の中でかなりためになった本を紹介したいと思います。 金融・経済のやや専門的な一般書です。 1.なぜ世界は不況に陥ったのか 集中講義・金融危機と経済学、池尾和人、池田信夫 2007年のサブプライムバブルの崩壊からはじまった一連の世界同時金融危機の包括的な事実関係の整理と分析の本です。 それぞれのクライシスの経済学的な解釈が詳細に述べられています。 また日本の失われた20年に対する分析や素朴なケインズ政策に対する批判も分かりやすいです。 →以前の書評 2.なぜグローバリゼーションで豊かになれないのか―企業と家計に、いま必要な金融力、北野一 どうも証券会社のエコノミストやストラトジストが書く本というのはあまりいい印象がなかったのですが、この本はなかなか面白いです。 グローバルな投資家による(広義の)裁定取引によって、相対的に経済成長率の低い日本が苦境におちいっている様子がよ
先月半ば、エコノミストが日銀の量的緩和について取り上げた(溜池通信やThe Gucci Postでも取り上げられているほか、本石町日記さんもつぶやかれている)。そこでは当時の量的緩和政策の効果について否定的な見解が示されていると同時に、日銀エコノミストの白塚重典氏の研究が紹介されている。 この記事にスコット・サムナーが反応し、同記事が量的緩和の失敗の証拠とした以下のグラフを見て、「これはむしろ成功の証ではないか?」というブログエントリを書いた。 サムナーの論旨は以下の通り。 日銀は弱虫の集団ではない。彼らは「物価安定」を目標にし、まさにそれを手に入れた。2001年3月に開始された量的緩和は、すぐには物価下落を止めなかったものの、それは2001年の弱い経済と、それに対するCPIの反応ラグで説明できる。2001末に98に達したCPIは、その後6年間、上下ほぼ0.7%のレンジで推移した。これはま
どうも日銀がお金をどんどん刷ればデフレが解決して日本経済も好転すると思っているひとがネットだけじゃなくて大学教授とかにもかなりいるみたいなんですけど、そんなことは全くありません。 もちろん僕も年率3%ぐらいのインフレを起こすことができれば日本経済が抱えているかなりの問題がよくなると思っていますが、日銀がそんなことを実現する手段を持っているかといえば答えは残念ながらノーです。 日銀がお金をたくさん刷ればすべての問題が解決すると一部の人はいっていますが、そもそもお金を刷るとはどういうことでしょうか? おそらくそれは日銀が国債をもっとバンバン買えといっているのでしょう。 じゃー、日銀がそういう人たちの念願どおり国債を民間の金融機関からドンドン買ったらどうなるのでしょうか? 国債を日銀が買うとその分の現金が金融機関に渡るのでもちろんマネタリーベースは増えるし、信用創造がほとんど起こらなくてもその分
先日のエントリーの続きになりますが、10月27日のFTに、イギリスの著名エコノミストであるJohn Kay氏が、「Too Big To Fail is Too Dumb an Idea to Keep(『大きすぎて潰せない』は馬鹿げている)」というコラムを書いていました。彼のコラムは、先日紹介した英中銀やイギリスの規制当局の主張を支持する内容で、金融機関の経営ミスを厳しく批判していますが、結論がなかなか興味深かったので、簡単に紹介してみます。 (以下、本文の抄訳) Too Big To Fail is Too Dumb To Keep Financial Times – John Kay > 金融危機が、規制当局の手落ちで発生したと言う人がいるが、それは、犯罪自体の発生の原因を、警察の怠惰の責任に帰しているに等しい。 > 金融危機を防ぐために、規制当局が国内外で協調して対処することが必要だ
Financial Times サーモンピンクの紙面で知られる英国の高級紙。1888 年の創刊以来、金融関連の報道に強く、経済、国際、政治問題についても報道の正確さに定評がある。世界発行部数は約44万部。読者総数は推定150万人に上る。 世界の金融市場が混迷を極め、経済の先行きに不透明感が増している。このコラムでは、金融、経済報道で突出した信頼性を誇る英フィナンシャル・タイムズ紙の記事をタイムリーに翻訳し、毎日1本お届けする。 >>「Financial Times」の記事一覧 (2009年10月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 危機に襲われた小国アイスランドは26日、グローバル経済の辺境にさらに一歩近づいた。マクドナルドが同国にある3店舗を閉鎖すると発表し、将来戻ってくる計画はないと述べたのだ。 昨年の銀行セクターの破綻まで、国民1人当たりのGDP(国内総生産)で世界屈指の富
Financial Times サーモンピンクの紙面で知られる英国の高級紙。1888 年の創刊以来、金融関連の報道に強く、経済、国際、政治問題についても報道の正確さに定評がある。世界発行部数は約44万部。読者総数は推定150万人に上る。 世界の金融市場が混迷を極め、経済の先行きに不透明感が増している。このコラムでは、金融、経済報道で突出した信頼性を誇る英フィナンシャル・タイムズ紙の記事をタイムリーに翻訳し、毎日1本お届けする。 >>「Financial Times」の記事一覧 (2009年10月23日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 筆者は今月、最近引退したあるシニアバンカーからハッとするようなメールを受け取った。クレジット市場のベテランであるこの人物はちょうど、今も現役で活躍する元同僚たちと雑談したところだった――そして大きな衝撃を感じていた。 「過去1年間の出来事は忘れた方がい
「押し貸し」という詐欺が存在する。勝手にこちらの口座を調べて勝手にお金を振り込み、「貸した」お金と「利息」とを返せと凄むのだそうだ。これは「そんな借りた覚えのない金を返す必要はないし、だいいち振り込まれたお金をすぐに相手に返せば済むことでは?」という簡単な話ではない。 相手はすべてを計算ずくでこのような手法を採用しており、振り込まれたお金を下手に下ろしたり使ったりしようものなら「ほら使ったろう。利息と一緒に耳を揃えて今すぐ返せ!」となる。 実際、多くの人がそうした取り立ての恐ろしさから利息を払ってしまうらしい。こうなってしまったら警察ないしは同レベルの助けを得るしか助かる道はない。 ところが、怖い話もあるものだと思ってなにげなくウェブ上で自分の口座を確認したところ、なんと、全く身に覚えのない振込があるではないか! いくら考えても身に覚えがない。振込先と同姓の同僚にわざわざ電話で確認し
1 2 3 4 5 米国の大物経済学者が警鐘! 「世界経済危機の第二波が近づいている」 ケネス・ロゴフ ハーバード大学教授(元IMFチーフエコノミスト)に聞く 金融危機後の経済運営に苦慮する欧米の政策担当者の間で今、ある本が注目を集めている。800年に及ぶ経済危機の歴史と教訓を探った「THIS TIME IS DIFFERENT:Eight Centuries of Financial Folly」(プリンストン大学刊)がそれだ。著者は、国際通貨基金(IMF)元チーフエコノミストのケネス・ロゴフ・ハーバード大学教授とカーマン・ラインハート・メリーランド大学教授。メインタイトルを直訳すれば、「今回は違う」だが、実際の主張は真逆だ。世界は、言うなれば「今回は違うシンドローム」に囚われ、同じ過ちを繰り返してきたという。その診断が正しければ、今回も危機の第二波が近づいている。ソブリンデフォルト、
新入生勧誘用の雑誌に掲載された「マネーゲーム愛好会」の紹介。1万円札でサークル名を形取ったものもあった 早稲田大OBのデイトレーダーによる相場操縦事件では、20代の3人が数十億円の資金を動かし、株式の時価総額が1000億円を超える大企業の株価を操作していた疑いが持たれている。 六本木ヒルズに拠点を置き、高級車に乗る派手な生活を送っていた“ポスト・ホリエモン世代”の若者たち。彼らをマネーゲームに駆り立てたものは――。 ◆1日1000万円の利益も◆ 「百万円の束で人をペチペチしたい人、金風呂に入りたい人、お待ちしております」 金融商品取引法違反容疑で東京地検特捜部に逮捕された無職松村直亮容疑者(28)は、早大時代の投資サークル「マネーゲーム愛好会」の代表だった2003年、サークル紹介誌で新入生をこう勧誘していた。 同会結成は1999年。株取引手数料が自由化され、ネット専業の証券会社の新規参入が
MSN産経ニュース - 支払い猶予法案は「友愛」 「総理は更迭できっこない」 亀井金融相(2009.9.27 15:53) http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/090927/fnc0909271554002-n1.htm <亀井静香金融担当相は27日、テレビ朝日の番組で、中小企業向け融資や個人向け住宅ローンの返済を3年程度猶予する「モラトリアム法案」をめぐり、政府内でも異論があることについて「(反対なら)鳩山(由紀夫)総理が私を更迭すればいい。できっこない」として猶予法案は与党三党の合意事項であることを強調した。詳細は週明けから本格化する与党三党との協議や金融界、産業界からの意見聴取を経た上で決める意向だが、調整は難航必至の情勢だ。 亀井金融相は終了後、記者団に対し、「『友愛』を返済猶予でやっていくという話なので、鳩山さんも喜んでいると思う」と
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く