それは「グレート・ローテーション(資金移動の大転換)」のシグナルなのか──。 1カ月前に起こった金価格急落の波紋は収まりそうにない。4月15日にニューヨーク商業取引所の金価格は、前取引日終値の1トロイオンス当たり1501ドルから一気に1360ドルまで急降下。2営業日前からの下落率は約13%に達し30年ぶりとなる暴落を見せた(下図)。 金価格急落の直接的な原因は、その直前に出た二つのニュースだ。 まず、キプロスの中央銀行が金準備の売却に動くとの報道が飛び出した。ユーロ圏とIMF(国際通貨基金)は100億ユーロのキプロス支援策を決めたが、ロシアマネーなどのマネーロンダリング(資金洗浄)疑惑のある同国に対しては自助努力の資金調達を求める厳しい条件も打ち出した。対応策の一環として、キプロス政府が金準備売却の見通しを示したことから、債務問題に苦しむほかの南欧諸国でも同様の動きが広がるのではとの思惑が