グローバル経済のドラスティックな変化の中、トップ自らが有為のタレントを自社で発掘し、次代のリーダーとして育成する環境をつくる必要性を説く著者(前回参照)は、そのために、企業は経営戦略と整合する人材戦略を推進すべきと提言する。その理由とは。実例に触れながら考えてみたい。 巨額の「人」への投資を 今のままで回収できるのか 「企業は人なり」――。このことに異論を唱える経営者は少ないだろう。 では、お尋ねしたい。「経営の基本である人材」に直接責任を負うのは誰の仕事だろうか。採用から育成、配置、昇進・昇格、異動、処遇、退職……といったライフサイクルに、いったい誰がすべての責任を持つべきなのだろうか。人事部門、所属部門の上司、もしくは研修会社、コーチ、コンサルタントといった外部機関なのか。 私はこう断言する。人材に対して究極的な責任を負うのは、CEOをはじめとする経営トップであると。 経営戦略とは、言