注目されるのは、環境税(地球温暖化対策税)を2011年から実施することを決める一方、2013年度に予定していた排出権取引の制度設計を先送りしたことだ。 これまでの論争で財界が集中砲火を浴びせたのが、この排出権取引である。これは、排出される温室効果ガスを取引するのではなく、それを排出する権利を取引するものだ。「排出権取引」と呼ぶのが学問的に正しいが、排出権という言葉が反感を買うため「排出量」が政府の公式用語になった(ここでは学術用語に統一する)。 11月29日~12月11日にメキシコ・カンクンで開催されたCOP16(国連気候変動枠組み条約締約国会議)でも、2013年以降の温暖化対策の結論が先送りされた。現在の京都議定書の延長には日本が強く反対しており、世界的な温暖化対策の枠組みも怪しくなってきた。 鳩山イニシアティブは実現不可能 鳩山由紀夫前首相が国連で「2020年に1990年比25%減」と