ぼくは現在、ゆり子という彼女と付き合ってかれこれ3年半経ちます。 今年で30歳になる彼女は、友達の結婚報告を聞くたびにため息をついてこう言います。 「ねえ、いつになったら結婚してくれるの?」 その度に、ぼくの心は揺れ動きます。 「悪いヤツじゃないんだよなぁ。料理もできるし綺麗好きだし。」 「でも、なんというか、小さく収まりそうな気がするんだよなぁ。」 「ゆり子って、住宅ローンで家建てて、子供産んで、日曜の夕方にはイオンの1階の広めのベンチでくつろぐような、ありふれた一般家庭を望んでるんだよな。」 「でも、これも悪くないのか。」 「多くを望みすぎなのかな。人生ってこんなもんなのかもしれないな・・・」 「いやぁ、でもちょっと待てよ。」 「いっそのことスパッと別れちゃうのもアリなんじゃないか?」 「男なんて結婚焦る必要ないんだし、海外好きのクリエイティブな女性を探そうかな」 「そうだ、そっちのほ