津波で打ち上げられた養殖設備や水産加工施設から流れ出るなどした魚介類の腐敗臭が、岩手県内の被災地で深刻な問題になっている。廃棄場所の確保が困難なうえ、行政はがれき撤去などに追われて回収作業もままならない。大量発生したハエが避難所に入り込んだり、悪臭で被災者が頭痛を訴えるケースも出ており、衛生面での不安の声も上がっている。 「今日はまだいい方。風向きによっては体育館の窓も開けられないよ」。大槌町の赤浜小学校。約90人とともに避難している佐藤寿さん(64)によると、最近は気温の上昇とともにハエの数も多くなっているという。 避難所から300メートルほどの船着き場では、養殖に使われる浮きや漁網、ロープでできた巨大な山が腐敗臭を放っていた。腐ったホタテやワカメがそのまま残っているのが見える。サーッという音とともに、地面を黒く染めていたハエの大群が飛び立った。 津波被害を受けた養殖設備などは、地元漁協