現代のエロについて語ろうとするとき、アンビバレントな二つの眼差しがある。 一方は、かつての深く濃密であったと言われる性の有り様を懐古的に羨望し、供給量ばかりが過剰で、その実、内容が伽藍堂にも見えかねない現在のエロを悲観する眼差し。そしてもう一方は「いや、待てよ、たしかに昔はもっと濃厚なエロがあったのかもしれないし、今のエロは見方によっては即物的に過ぎるのかもしれないけど、現代の方がもっと自由に性を楽しめてるじゃん」と現状を楽観する眼差し。 筆者自身、ゆとり教育あがりのネット世代、現在のエロ文化の低迷(?)に批判的な振る舞いをしてみせても、どこかに「これって単なるアナクロなのかもしれない」という内省がつきまとう。市井に氾濫する「草食化」や「コミュニケーションの希薄な若者」という言辞に翻弄され、また自らもそれらを安易に口ずさみながらも、拭い切れない違和感がある。 先月、荻上チキ氏により上梓され
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