やがて、思い出になってゆくライター・吉玉サキが、訪れた場所やそこで出会った人、感じたこと、考えたことを綴るエッセイ。 大好きなアイドルグループが念願のCDデビューを発表した。 私はその発表を、5万人の観客のひとりとして京セラドームで聞いた。最年長のメンバーは29歳で芸歴15年だ。彼が最後の挨拶で涙を流しながら「夢は諦めなければ必ず叶う」と言ったとき、私はかつて夢を諦めたことを思い出していた。私も彼のように15年間諦めずに続けていれば、小説家になれたのだろうか。 ドーム中に灯る赤いペンライトの光の中、私はひそかに決心した。次に夢を持つことがあったら、なにがなんでも15年は諦めないと。 18歳の私は、「なりたい職業」は決まっていなかったが、「やりたいこと」は明確にあった。 ひとつは小説を書くこと。私は小さな頃から小説を読むのが好きで、高校生になると自分でも書くようになった。北海道新聞社が主催す
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