「共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法が十一日、施行された。八つの法律家団体で構成する「共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会」は、法の廃止を訴えるだけでなく、警察の乱用を防ぐため、第三者機関の設置を提言している。国会審議を経ても、心の中や表現の自由、プライバシーなどを侵される懸念は解消していないためだ。メンバーの小池振一郎弁護士は十一日、東京都内で開かれた集会で「共謀罪による人権侵害を救済できる公的な独立機関が必要だ」と訴えた。 共謀罪は、犯罪実行前の計画段階で捜査、処罰するため、当事者の通信や会話内容、関係者の供述が偏重され、監視社会となったり、冤罪(えんざい)を招いたりする恐れが高いとされる。プライバシー権に関する国連特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏も、警察を監督する第三者機関の設置を提言している。 小池弁護士によると、第三者機関は、共謀罪容疑などで捜索や取り調べなどを受けた人が人権
「やってないものは、やってない」-。殺人罪で服役した原口アヤ子さんは一貫して無実を叫んだ。その願いは第三次の再審請求でやっと重い扉を開けた。裁判所は早く無実を認めるべきである。 厳しい取り調べにも、原口さんは一度も罪を認めたことはない。例え話であるが「認めれば仮釈放される」などの誘いにも乗ったことはない。事件は鹿児島県大崎町で一九七九年に起きたが、物証はないに等しく、共犯者とされる者たちの証言のみで立証されている。
沖縄全戦没者追悼式で献花に向かう安倍晋三首相(手前)を見つめる沖縄県の翁長雄志知事(中央左)ら=23日、沖縄県糸満市の平和祈念公園で(沢田将人撮影) 沖縄県は二十三日、太平洋戦争末期の沖縄戦で犠牲になった二十四万人以上をしのぶ「慰霊の日」を迎えた。七十二年前のこの日、旧日本軍は組織的な戦闘を終えたとされる。最後の激戦地となった糸満市摩文仁(まぶに)の平和祈念公園で、恒久平和を誓う「沖縄全戦没者追悼式」(県など主催)が営まれた。翁長雄志(おながたけし)知事は平和宣言で、就任以来三回続けて米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設問題に触れて、基地を巡る国民の議論を促した。式典には遺族や安倍晋三首相らも参列した。 平和宣言で翁長氏は、昨年十二月に普天間飛行場の新型輸送機オスプレイが名護市の浅瀬で不時着し、大破した事故などに言及。国内の米軍専用施設の約70%が今なお沖縄に集中していることを強
厚生労働省前事務次官の村木厚子さんが、虐待や貧困を端緒に性的搾取などに苦しむ「女の子」の支援活動をしている。きっかけは、二〇〇九年の郵便不正事件に巻き込まれた拘置所生活で出会った彼女たちの存在だ。権力に屈せぬ思いは今、形を変え、誰かの未来を守る取り組みにつながっている。 貧困、虐待などを端緒にした、性的搾取や予期せぬ妊娠、薬物依存…。誰にも言えずに悩みを抱え込んでいる女の子は、案外多い。各地に市民団体やNPO法人などはあるけれど、残念ながら全体的に小さい。それぞれの活動が、彼女たちのSOSにつながっていない部分もある。 そのひずみをなくすネットワークをつくろうと「若草プロジェクト」と銘打ち、瀬戸内寂聴さんと呼び掛け人になり、立ち上がった取り組みです。LINE(ライン)での相談を受け付けたり、支援者の研修会を開いたりしています。
「ジブリパーク」に生まれかわる愛・地球博記念公園。手前右はサツキとメイの家=愛知県長久手市で、本社ヘリ「あさづる」から 「千と千尋の神隠し」や「となりのトトロ」などのアニメ映画で知られるスタジオジブリ(東京都小金井市)が、愛・地球博記念公園(愛知県長久手市)を「ジブリパーク」に生まれかわらせる。ジブリの鈴木敏夫プロデューサーと愛知県の大村秀章知事が三十一日、名古屋市内で会談し、大筋合意した。 宮崎駿監督が描いた「となりのトトロ」の世界観を、四季折々の草花や木々にあふれる自然豊かな園内二百ヘクタールで再現。二〇二〇年代初頭のオープンを目指す。順次、整備を重ねるが、木々の伐採など新たな開発はしない。
愛知県一宮市消防団の50代の分団長を含む男性団員7人が、制服姿のまま消防ポンプ車で市内のうどん店に行き、昼食を取っていたことが分かった。市消防本部(同市緑1)は25日、全25分団長に口頭で注意を促した。近く文書で全団員にも呼び掛ける。 同本部は、消防車は消防活動以外に使わないと市内の消防団と申し合わせている。同本部によると、16日午前9時半から同本部で消防操法大会の説明会があり、出場予定の団員ら50人が大会で使うポンプ車に乗り合わせるなどして参加。このうち、一分団の7人が終了後、うどん店に立ち寄った。 市民が同日夜にメールで「消防車がうどん店にあった。おかしくないか」と写真付きで同本部に指摘。このため19日に「消防車で飲食店に乗り付けるのは非常識」として分団長に口頭注意した。 分団長は同本部の聞き取りに「次の予定があり、このタイミングで昼食を取るしかなかった。軽率だった」と話したとい
「ビザが延びる」とだまされ、除染現場で働いたことを証言したホセイン・モニーさんの難民認定申請書類と除染作業講習の修了証=一部画像処理 東京電力福島第一原発事故の除染作業で、日本に難民申請中のバングラデシュ人の男性二人が、業者から「除染に従事すればビザが延長される」と虚偽の説明を受け、福島県内で働かされていたことが分かった。法務省入国管理局難民認定室は「極めて重い問題。事実が把握できれば業者を指導する」とし、近く調査に乗り出す。 日本政府は難民認定審査を待つ申請者に対し、上限半年間のビザを発給、期限ごとに更新の可否を決める。二〇一〇年以降、申請から半年以上が経過した人の就労を一律に認めたが、あくまでも生活の安定を図るための人道的措置。今回の事案は制度を悪用した行為で、難民認定室は「誤った説明で人集めをしているとすれば悪質で見逃せない事案。申請者本人からも聞き取りしたい」としている。
射水市新湊博物館は九日、所蔵の和製望遠鏡が江戸後期から明治中期ごろまで大阪の「岩橋家」が製造した望遠鏡と分かったと発表した。岩橋望遠鏡は国内外に現存し、十八個目の確認。今回のものは最大の大きさで、本体に製作者名と製作年が書かれているのが初めて確認された。十七日から博物館で展示する。 江戸時代に同市放生津町に住んでいた材木商「柴屋」の子孫が昨年五月、古文書など数千点と共に同博物館へ寄贈した。富山市天文台の渡辺誠専門官(62)の調査で岩橋家が作ったと判明。今年一月に専門業者が望遠鏡を分解修理すると、製作年を示す「文化五年」(一八〇八年)の墨書きが見つかった。 初代岩橋善兵衛(一七五六~一八一一年)が製作したとみられる。直径九・六センチ、全長二九五・二センチで、八十四センチほどに縮む。接眼部に「岩橋」の銘があり、同家製作を示す車形模様が金で施されている。博物館によると、望遠鏡は一度名家に納められ
日本の犯罪史上最大の大量殺人とされる一九三八(昭和十三)年に岡山県で起きた「津山事件」の資料が、磐田市内で見つかった。捜査情報が基になっているとみられ、事件を詳しく記録・分析した冊子と、現場や凶器などを撮影した写真が二十六枚。作成者や目的は不明だが、ガリ版刷りの黄ばんだ冊子をめくると、凶行に走った青年が孤立を深めていった経緯が浮かんできた。 磐田市内に住む岡山県警の警察官の遺族が、自宅で保管していた。事件に詳しい影山任佐(じんすけ)・昭和女子大客員教授(犯罪精神医学)は、類似文書が存在することなどから「警察が後進の教育用に作成し、刑事らに配布したのでは」と推測。岡山県警は「事件の資料が残っておらず、県警が作成したかどうかも含め、確認しようがない」と説明する。 冊子はB5判で、表紙などを除いて四十四ページ。事件概要や、犯行後に自殺した都井睦雄(といむつお)=当時(21)=の経歴、犯行の動機な
日本の犯罪史上最大の大量殺人とされる一九三八(昭和十三)年に岡山県で起きた「津山事件」の資料が、磐田市内で見つかった。捜査情報が基になっているとみられ、事件を詳しく記録・分析した冊子と、現場や凶器などを撮影した写真が二十六枚。作成者や目的は不明だが、ガリ版刷りの黄ばんだ冊子をめくると、凶行に走った青年が孤立を深めていった経緯が浮かんできた。 磐田市内に住む岡山県警の警察官の遺族が、自宅で保管していた。事件に詳しい影山任佐(じんすけ)・昭和女子大客員教授(犯罪精神医学)は、類似文書が存在することなどから「警察が後進の教育用に作成し、刑事らに配布したのでは」と推測。岡山県警は「事件の資料が残っておらず、県警が作成したかどうかも含め、確認しようがない」と説明する。 冊子はB5判で、表紙などを除いて四十四ページ。事件概要や、犯行後に自殺した都井睦雄(といむつお)=当時(21)=の経歴、犯行の動機な
名古屋市内の民家で昨年末、子どもに発達障害の可能性があることに悩んでいたとみられる母と子二人の遺体が見つかった。警察は無理心中とみて捜査しているが、事件は発達障害の可能性がある子を持つ親に衝撃を与えた。学校の受け入れ態勢が十分ではないため、「学校は相談に乗ってくれない」と思い込む親が少なくないためだ。 愛知県内に住む女性は四年前、小学校に入った長男が「発達障害の一つの学習障害(LD)なのでは」と感じた。宿題に出された国語の音読で「とけい」を「けいと」と読んだり、同じ行を繰り返したりしたからだ。インターネットのサイトではLDの特徴に当てはまった。 二年生の時に担任の教諭に相談したら、「他にもそういう子はいます。様子を見ましょう」と取り合ってもらえなかった。専門機関で正式にLDと判明し、学校はようやく、テスト時間の延長などの支援をしてくれるようになった。女性は「学校はこういう所なんだ」と感じた
滋賀県警長浜署員らが昨年11月下旬に開いた職場の懇親会で、男性署員がスカートをはいた女性署員にプロレスの技を掛け、周りの男性署員が写真撮影し、画像を共有していたことが、関係者への取材で分かった。県警はセクハラ行為に当たる可能性もあるとして関係者への聞き取りを進め、署員らの処分も検討している。 関係者や県警監察官室によると、懇親会は人事異動に合わせて、11月22日に同県長浜市内の飲食店で開催。同署地域課の25人が参加し、幹部署員はいなかった。会の途中、40代の男性巡査長が余興として数人にプロレス技を掛け始め、20代の女性署員2人も相手をさせられた。 女性署員に掛けたのは、相手の手足をつかみ、脚を広げさせて空中であおむけに体を反らせる「つり天井固め」と呼ばれる技。女性署員の1人はスカートをはいていたが、やめさせる署員はいなかったらしい。様子は男性署員らが携帯電話で撮影し、懇親会終了後に一部
アニメーション映画「この世界の片隅に」のヒットが続いている。映画化を実現させるためのパイロット版の資金をクラウドファンディングで集めるなど制作段階からの共感が広がり、当初は63館だったのが累計で200館を超えた。キネマ旬報の日本映画ベスト10で1位となるなど映画賞も獲得。戦時下に広島市から呉市に嫁いだヒロインすずの目を通し、庶民の日常を丹念に描いた片渕須直監督(56)は「振りかざす正義より、伝わるものがあるはず」と思いを語る。(松岡等) 「すずさんは戦時中に生きた人を代表する人。そのすずさんが見たものを通して、あの時代を描けたらと思ったのです。こんな街で買い物をしたり、生活をしたりしていたんだと、本当にいた人として感じたかった。呉の人たちから、当時は本当にそうだったと評価してもらい、うれしかった」 「登場人物たちの広島弁が、おばあちゃんたちのしゃべる広島弁なんだそうです。うちのおばあちゃん
金沢市のシネモンドは十七日から上映する、太平洋戦争下の庶民の暮らしを題材にしたアニメーション映画「この世界の片隅に」で、来年一月、通常三~四日の字幕版上映を異例の二週間にわたり実施する。聴覚障害者が映画館で映画を十分に楽しむためには日本語字幕が不可欠で、上野克支配人(41)は「多くの人に見てもらいたい作品。健常の人にも理解してほしい。二度目、三度目は字幕でせりふの意味をかみしめてもらうのもいい」と話す。 映画は、軍港のあった広島県呉市を舞台に、広島市から十八歳で嫁いだヒロインすずの目線で、激しい空襲、食料や燃料の配給制の下、大切なものを失いながらも明るく生き抜こうとする人々を描く。原作はこうの史代さんの漫画。片渕須直監督が暮らしや街並みを細部まで調査の上でリアルに表現。当初は全国六十三館と小規模だった上映は、年明けに累計二百館を超える見込みだ。 シネモンドも当初から異例の八週間というロング
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