ブックマーク / blog.livedoor.jp/editors_brain (12)

  • 編集者の日々の泡:佐野研二郎氏のデザイン盗用・模倣問題、編集現場から考える

    2015年09月03日 佐野研二郎氏のデザイン盗用・模倣問題、編集現場から考える Tweet 東京オリンピックエンブレム模倣疑惑から始まったデザイナー佐野研二郎氏の一連の盗用・模倣問題、エンブレム取り下げでひとつの大きな山を越した感があるので、ここで編集者としての率直な印象を書いておく。 例として、私が仕事で取り組んだWeb媒体の話を挙げよう。雑誌でも書籍でもなくWebを挙げるのは、スピード感が最重視されるメディアであって「限られた時間で法的にも問題ない結果を出さねばならない」現場だからだ。 私がとあるWebの編集長をしていた頃、連載や特集、特番といった新規案件が、ひっきりなしに順番待ちをしていた。もちろんそれぞれデザインを起こさねばならない。 部内にデザイナーを抱えていたので、イメージを彼らに伝えて作業させた。全体のデザインのみでなく、付随して多数の画像を作る必要がある。新連載の画像カン

  • 編集者の日々の泡:私が担当した電子書籍、絶版にしました

    2014年06月20日 私が担当した電子書籍、絶版にしました Tweet ところで、私が担当して出版した電子書籍、絶版にしました。 この書籍を企画したのは2010年。もう4年前だ。当時の電子書籍は、紙の書籍に比べ販売部数が1〜2%程度。つまり紙なら1万部出るを電子化すると、販売部数は100部とか。 1500円で初版1万部の書籍なら、著者に入る印税は、10%で150万円。これが電子書籍では2万円といったところだ。 私が手がけたのは、紙の書籍を並行させない、電子書籍オリジナルの企画。売れないとはっきり言った上で、「一緒に新しい市場に挑戦しよう」と著者の方を口説いた。 とはいえ丸損を押し付けて書き下していただいたわけではない。そんなこと、申し訳なくてできない。そうではなくて、原稿自体、「原稿料」という形ですでに償却済みのものを書籍化した。 もともと書籍化の約束があって書いていただいたものではな

  • 編集者の日々の泡:「配信停止」したのに連日続く、謎の「楽天メルマガ絨毯爆撃」の仕組みがようやくわかった……

    2012年05月30日 「配信停止」したのに連日続く、謎の「楽天メルマガ絨毯爆撃」の仕組みがようやくわかった…… Tweet いや驚いた。楽天メルマガのスパゲッティーぶりに。 発端はこうだ。 ご存じの通り、楽天市場を利用していると、いつの間にやら大量のメールがどかどか届く事態となる。商品購入時に数のメルマガ購読が入っているからだ。いやもちろんオプトアウトではないのだが、最初からチェックボックスにチェックが入っている形なので、どうしてもメルマガ購読に「同意した」形になりがちだ。 PCであればGmailの迷惑メールフィルターに登録して一件落着なんだが、携帯にもなんやかや届く。携帯メールは操作も面倒だし、受信側でもパケット代が掛かるなど、なにかと困った事態となる。 なのである日、楽天「会員登録情報」から携帯メアドを丸々削除し、また「楽天のメール一覧」から、すべての携帯メールマガジンを「未選択」

  • 編集者の日々の泡:ベゾス「アマゾンキンドル日本展開」明言の「背景」、そして「今後」

    2012年04月16日 ベゾス「アマゾンキンドル日展開」明言の「背景」、そして「今後」 Tweet さて、ようやくベゾスがamazon kindleの日展開を明言した。なので公にこの話題を書いても、ご迷惑を掛ける筋もないだろう。 私もアマゾンと国内出版社との契約話はずいぶん聞いていたが、聞いた相手の立場もあり、「私の妄想」の話としてしか書けなかった。私がブログで「妄想」と書いたときは、背景を想像してもらえるとうれしい。まあ当に妄想のときも多いので、責任は持てないが。 出版業界の外の人にはわからないだろうけれど、大雑把に言えば出版業界はアップルの商売倫理にもとる振る舞いに苦渋を飲まされ続けたので、アマゾンシンパが多数派だ。 もちろんアップルが法律を犯したという話ではなく商売のパワーゲームだから、いい悪いの問題ではない。ただアップルは日法人に調整機能すら期待できないのが正直なところで、

  • 編集者の日々の泡:講談社「スティーブ・ジョブズ」、100万部出て「まさかの赤字」。背景は米国の……

    2012年02月09日 講談社「スティーブ・ジョブズ」、100万部出て「まさかの赤字」。背景は米国の…… Tweet ところで講談社が伝記「スティーブ・ジョブズ」の販売状況を公開したらしい。 前後編で100万部以上出たわけだけど、赤字だそうだ。 日市場の場合、通常書籍は初版では赤字の「バーゲン価格設定」で販売され、運良く増刷りが掛かったときに黒字化していくのが一般的。 とはいうものの、もちろん増刷りが掛かりまくって100万部出てすら赤字(1冊あたりは50万部だけど)というのは、商品設計になにか決定的な問題点があったとしか思えない。まして1冊約2000円という高額書籍なのに。 理由は高額ロイヤリティーだそうだ。 米国では同書の標準小売価格は35ドル。まあ3000円といったところ。前後編に分かれておらず1冊だ。 日の場合前後編2冊合計で4000円。もちろん英語書籍と日語書籍の市場規模は比

  • 編集者の日々の泡:「電子書籍と出版社」一連のエントリー、反響が多いので、もう少し解析してみる

    2011年11月02日 「電子書籍と出版社」一連のエントリー、反響が多いので、もう少し解析してみる Tweet そろそろ他の話題でもと思ったのですが、まだいろいろ反響をいただくので、もう少し解析しないと申し訳なく感じます。なのでもうちょっと落ち穂拾いなど。 あと前回のエントリーに過去記事リンクをけっこう貼ってまして、疑問点などはそちらで解決するかもなので、読んでいただけるとうれしいです。 ■出版社は電子書籍に後ろ向き? まず前回10/31のエントリーに対し、「出版社は電子書籍に後ろ向き」というご意見をいただきますが、10/25のエントリーにて「そうじゃないです。うまくいってないだけで」という現状をご報告しているので、そちらもご覧いただけるとうれしいです。すでに新潮や角川は全書籍の電子化を打ち出してるし、大手はおおむねその方向かと。 このへん、要は出版界(というか出版社)が主導できないわけで

  • 編集者の日々の泡: 小学館、集英社、講談社が電子書籍でアマゾンと組みそうな「ワケ」 ――大手がアップルでなくアマゾンを選んだきっかけは、「出版デジタル機構」か「コミック」か!?

    2011年10月26日 小学館、集英社、講談社が電子書籍でアマゾンと組みそうな「ワケ」 ――大手がアップルでなくアマゾンを選んだきっかけは、「出版デジタル機構」か「コミック」か!? Tweet 前回のエントリーで、日電子書籍が陥っているジレンマについて書いた。今日は、急転直下、超大手があらかたアマゾンに乗りそうな気配を見せた、その理由を考えてみる。 前回は事実ベースの記事だったわけだが、今回は未来話でどこに取材したわけでもなく、完全に私の推測というか妄想になる。当たるも八卦なので、そこはご勘弁ください。 今回、講談社、小学館、集英社という大手が動いた背景だが、私はざっくりふたつ理由があるかなと想像している。 ひとつには「出版デジタル機構」(仮称)を作ろうという動きがあり、ここに実際、小学館も集英社も講談社も参加している。これがきっかけになっているだろう。 この機構は設立目的が非常に曖昧

  • 編集者の日々の泡:やっぱり米国においしく吸われる出版界か。版元も著者も読者も。 ――小学館、集英社、講談社が電子書籍でアマゾンと組みそうな「ワケ」appendixのappendix

    2011年10月30日 やっぱり米国においしく吸われる出版界か。版元も著者も読者も。 ――小学館、集英社、講談社が電子書籍でアマゾンと組みそうな「ワケ」appendixのappendix Tweet 皆様ご存知の通り、blogosになかなか衝撃的な告発が出た。amazonが日の書籍の電子化で55%抜く上に著作権は著者から出版社に全部移せと、そしてそれを1か月以内に行動せよ+契約したらアマゾンが勝手に書籍電子化する権利を持ちます。とかなんとか。 これ私の情報より新しいな。ウチには来てない気がするなんとなく。さりげに聞いてみます。 とはいえ、この条件には実は既視感がある。 ブログで1年半ほど前に書いていたことだが、実はアマゾンは元々電子書籍立ち上げの時期から「7割抜く」という荒業に出ていた。 で、appleiPad出すときに同様の契約をチラつかせて出版界をげんなりさせたのだが、iPad

  • 編集者の日々の泡:出版社「悪者説」から、とりあえず初歩的な誤解ベースだけ書いとこうかな

    2011年10月31日 出版社「悪者説」から、とりあえず初歩的な誤解ベースだけ書いとこうかな Tweet 「アマゾンが売上の過半を抜く上に著者から著作権を離脱させろとかなんとか」というblogos衝撃記事に関して土曜25時くらいに記事を上げたが、ここ数回のエントリー同様、そちらもけっこうソーシャルで反響をいただいた。 ソーシャルでの反響であるので、さまざまな視点や立場からご意見をいただく。すごく参考になるし楽しい。 たとえば「 “出版社なければもなし”という議論の方向だったら、ちょっと違う時代に入っているのだと思う。」というツイート。そりゃそうだ。 テンプレ判型に押し込むだけならamazonだろうがどこだろうが電子書店側で簡単に作業できるはず。あとはたとえば売れる内容への助言や編集とかタイトル付けといった「編集のプロ」的部分をどこが持つかさえ解決できれば、出版社いらんね別に。電子書店はこ

  • 編集者の日々の泡:小学館、集英社、講談社が電子書籍でアマゾンと組みそうな「ワケ」 ――電子書籍に死屍累々の「出版界」

    2011年10月25日 小学館、集英社、講談社が電子書籍でアマゾンと組みそうな「ワケ」 ――電子書籍に死屍累々の「出版界」 Tweet さて、米アマゾンが電子書店「Kindle Store」を日でも年内メドで開店というニュースが報道された。日経が口火を切ってあちこちで報道されたわけだが、報道によると小学館、集英社、講談社が「乗る」方向で交渉中とのことだ。今日はこのあたりの観測記事など。 長くなるので2回に分けると思う。 出版不況に長年晒されている出版界では「なんとしても新規の売上を立てたい」のは経営陣の悲願で、ここ2年ばかり、役員先行型で日の出版社は電子書籍への対応を進めてきた。というか進めたいと思ってきたに違いない。 それがおおむね失敗して読者から見ると「なにノロノロやってんのよ」と見えているのは、以下のような理由からだ。 ●電子書店の規格乱立 電子書籍は、個々の電子書店で許されるフ

    yoyoprofane
    yoyoprofane 2011/10/25
    知人が書いてるのかと…。
  • 編集者の日々の泡:電子出版「緊急報告」 ――フィナンシャルタイムズ「脱獄」で、アップルが急に「猫なで声」。なんだかなあ(゜ε゜;)

    2011年06月20日 電子出版「緊急報告」 ――フィナンシャルタイムズ「脱獄」で、アップルが急に「なで声」。なんだかなあ(゜ε゜;) Tweet さて、1万300円という激安サイパンツアーから帰ってきたんでその報告でもと思ったんだが、私の職絡みで緊急に動きがあったので、そのことなど。 以前、アップルの凶悪政策で電子書籍・電子雑誌など出版界が大揺れに揺れ、ついには公取がアップルに入った件など書いた。 司直に諫められてからもアップルの「アレ」ぶりは改善されず、全世界的に出版界でアップル離れが(マインドとして)進みつつある。 アップル評論家の方々は、やたら持ち上げるだけでなく、アップルのこうした危険な一面もしっかり伝えてほしい。それでこそ「アップルのプロ」だろ。無理すかそうすか。 「アップルの危険な火遊び」状況が続いたため、ついには辟易した英国フィナンシャルタイムズが、iTunes Sto

  • 編集者の日々の泡:1世帯あたり月の雑誌購入額「376円」の「衝撃」、業界に走る!

    2010年02月01日 1世帯あたり月の雑誌購入額「376円」の「衝撃」、業界に走る! Tweet 日経に出てたんだけど、2009年7-9月に1世帯が雑誌に支出した金額が1129円だそうだ(総務省調査)。 ――つまり1か月あたり376円。 これを読んで私は、ちびまる子並にタテセンが入ったよ(笑)。 早い話、月1冊買うか買わないかくらいという話だろ、このレベルだと。しかも恐ろしいのが、これが「ひとりあたり」でなく「1世帯あたり」ということ。1世帯平均3人とすれば、ひとりに直せば「3か月に1冊」って話じゃん。 2009年の雑誌販売部数は前年比-6.9%と急落したけど、それが良くわかる話。ちなみに販売金額は-3.9%。つまり1冊あたりの単価が上がってるわけで、おそらくだが宝島などの付録効果だろう。それでもカバーできてないのが悲惨だが。。。 以前から言われていた要因のひとつが「携帯にわれた(時間

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