先日、ジェフリー・サックスの「世界を救う処方箋」を読んだ。内容は、リベラル派から見たアメリカである。若い人にはアメリカの政治経済を知るための良書だが、筆者にとっては、見知ったアメリカである。ただ、そこから受けた印象は、かつて知った時とは、随分、違ったように思えた。小さな政府の「病」は、いまや日本の問題でもあるのだと。 日本の政治経済の主流の思想は「近代化」であり、その推進役は官庁であった。産業技術を取り入れ、設備投資を進めて資本を蓄積する。輸出を増やすとともに、貿易や資本の自由化も受け入れていく。また、社会資本を建設し、高等教育や社会保障を徐々に整える。そうした営みである。欧米にあるものを、日本なりに消化して実現することとも言える。 一般的には、欧米へのキャッチアップは、高度成長期までに達成されたとされるが、社会資本は、1980年代でも不十分と思われていたし、社会保障は、最後の大型制度の導
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