さっそく、P・クルーグマンの「さっさと不況を終わらせろ」を入手し、訳者解説を読んだ。本体はもちろんだが、山形浩生さんの解説も楽しみでね。日頃、自分とは違う考えの論者の主張も読むことを心がけているが、やっぱり、自分と同じ立場の論考を読む方がうれしい。各紙の財政再建至上主義に囲まれて、げんなりしているだけにね。 山形さんは、クルーグマンも考えを変えてきたと指摘するが、筆者も同感だ。「金融緩和でインフレ期待を高めるべし」と言っていたというくだりには、懐かしさを覚えた。金融緩和で期待を作るのは容易ではないから、当時は、何を言っているのかと思ったものだ。そのクルーグマンも、現実を踏まえて財政重視に修正してきたのは立派なものである。日本では、十年一日の「理論家」が多いから、特にそう思う。 ちなみに、本コラムは、財政運営についての論説が中心だが、別に金融緩和を軽視しているわけではない。それは当然の前提と