古代ギリシャの時代から、医師は何よりもまず人に危害を加えないことを誓ってきた。これは超大国にとっても重要な原則だ。外交で解決できるのであれば、武力に訴える必要などない。 バラク・オバマ大統領の「ヒポクラテスの誓い」、すなわち「ばかなことはするな」という言葉で表現される外交姿勢は、同氏が所属する民主党内でもばかにされている。イラクのイスラム主義者の進軍やウクライナの親ロシア派分離主義者の武装集団によるミサイル発射はすべて、オバマ氏の慎重姿勢が間違っていることの明確な証拠だと受け止められている。 米国が自制する時代は終わりつつあるのだろう。オバマ氏が巻き返すとしたら、残された時間はあと2年だ。 悲しいことに、オバマ氏は自分のドクトリン(主義)を友人に納得させることすらできなくなっている。同氏が2008年の大統領候補指名選挙で勝利を収めたのは、イラクでの「ばかげた戦争」に反対したからだった(もち