Sheilagh Ogilvie, “Medieval Champagne fairs: Lessons for development” (VoxEU.org, 23 December 2015) 〈ある一群の経済学者たちが口を揃えて言うことには、強力な国家や公的機関がなくても経済は繁栄しうる、と。この記事では、中世ヨーロッパにおける「シャンパーニュの大市」を教材として、公共機関というものがいかに重要なものであり得るかを考察する。公的権威というものは、良きにつけ悪しきにつけ、決定的なものである。統治者がそれを全ての人が用いられる公益事業として提供したときに、シャンパーニュの大市は花開いた。そしてその利用を一部の人々のみの特権として認可したとき、交易は衰退し別の所へと移って行った。〉 経済史を語る上で広く支持されている説に、経済の成功には、国家、統治者、法制度といった正式な権威と結びつい