メルケル首相がギリシャを手放さない大きな理由 ユーロ圏緊急サミットきょう開催、側近は「離脱容認の用意あり」と言うが・・・
数週間にわたって香港を席巻した民主化デモから半年が経過した今、この都市の経済は――見る人の視点によって――その副次的影響を受け始めているか、あるいは特に何事もなかったかのように順調に航海している。 2つの不動産市場の物語がこの点を浮き彫りにしている。両極の一方の端には、小売りスペースがある。騒動以来、中国本土からの訪問客の伸びの鈍化に見舞われ、貸店舗の賃料は今年最大20%減少すると予想されている。 もう一方の側には、オフィスがある。本土との新たな金融面のつながりによって活気づき、香港の近代的高層ビルの森では空室率が世界金融危機の勃発以来最も低くなっている。 両者を結ぶ共通点は明らかだ。1997年に英国の統治が終了して以来どの時点よりも、香港の経済的運命が中国本土に依存しているということだ。 欧米経済と連動してきた香港経済に異変 香港がそれ以外の中国にこれほど深く編み込まれているという事実は
(2015年6月18日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) サウジアラビアの国防相が今週、ロシアに赴く。石油王国で米国の同盟国であるサウジは、ウラジーミル・プーチン大統領との架け橋を築き、中東の盟主としての権威を発揮しようとしているのだ。 国防相としてイエメンでのサウジの空爆作戦を率いたムハンマド・ビン・サルマン王子は19日、サンクトペテルブルク国際経済フォーラムに合わせてプーチン大統領と会談する。 この会談は、ロシア政府がいかにシリアで前へ進む方法を模索しているかを示している。 ロシアは4年にわたるシリア内戦で「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」などのジハード(聖戦)主義者を含む反政府勢力と戦うバシャル・アル・アサド大統領の体制側の顕著な支援国だ。一方のサウジはアサド氏を退任に追い込むことを期待し、非宗教的な反政府勢力と「穏健」なイスラム主義の反政府勢力を支援している。 アサド後をに
第1次世界大戦が勃発した時、欧州諸国の国民は自信と歓喜の念を覚えながらその知らせを迎え入れたと言われている。ギリシャの経済危機と政治的混乱が何年も続いている今日も、それによく似たことが起きているようだ。 もううんざりだと感じる人が増えている。また、イタリアの経済学者フランチェスコ・ジャヴァッツィ氏が本紙(フィナンシャル・タイムズ)への寄稿で披露した厳しい見解が、多くの政府高官に支持されている。 一方、ギリシャのアレクシス・チプラス首相は、債権者たちが自国を「略奪」していると非難している。 国際通貨基金(IMF)の冷静なチーフエコノミスト、オリビエ・ブランシャール氏は、交渉がまとまる可能性はまだあると話している。しかし、多くの人がこの難局を打開したいと考え始めている。 互いにもう我慢の限界? ギリシャ人がどんなゲームをプレーしているつもりだったにせよ、ギリシャ政府は今、この屈辱をとにかく終わ
緊縮でもユーロ圏離脱でもない第3の道として並行通貨制度の導入を提案する向きがあるが・・・(写真はギリシャで鋳造された1ユーロ硬貨)〔AFPBB News〕 地図に載っていない分かれ道に行き着いた旅人のように、ギリシャ政府はまもなく、ユーロ圏にとどまり、さらなる緊縮財政を国民に強いるか、あるいは旧通貨ドラクマへの復帰を余儀なくされるかもしれない債務のデフォルトに踏み切るかという厳しい選択を迫られることになる。 しかし、一部のエコノミストは、第3の道が可能かどうか思案している。 ギリシャ政府が支払い義務を果たすために増税や支出削減を実施することなく、通貨同盟にとどまることを可能にする並行通貨を創設するという道だ。 ■そんなの空想だろう? このような議論は今までは、あくまで仮説だった。だが、ギリシャとその債権者が今月末までに救済プログラムの延長について合意に達しなければ、現実味を帯びてくる。 合
ギリシャがプレーしているかもしれない4つのゲーム 期限迫る支援交渉、まるで「理由なき反抗」のチキンレース
この戦いは、長く、辛いものだった。だが、大いに打撃を受けた先進国経済の今の姿をつぶさに見渡してみれば、金融の混乱とデフレに対する戦いは勝利に終わったと宣言しても良い頃合いだ。 国際通貨基金(IMF)によると、2015年には、2007年以来初めてすべての先進国の経済が拡大する見込みだ。 先進国の経済成長率は、2010年以来初めて2%を上回り、米国の中央銀行である米連邦準備理事会(FRB)は、これまで最低水準にあった金利を引き上げる可能性が高い。 しかし、世界経済は延々と続くギリシャの債務問題から中国の不安定な市場に至るまで、いまだにありとあらゆる種類の落とし穴を抱えている。過去に、景気後退に10年間陥らなかった経済はほとんど存在しない。米国の経済が現在の成長局面に入ったのは2009年のことだ。 「うまく行かなくなる可能性のあるものは必ずそうなる」というソッドの法則に従うならば、遅かれ早かれ、
さあ、ついにこの局面が訪れた。ギリシャのアレクシス・チプラス首相が提案を受け入れるか否かの二者択一を迫られた。首相はどうすべきなのか。 チプラス氏は2019年1月まで選挙に直面せずに済む。今どんな行動方針を決めるにせよ、その方針は向こう3年以内に実を結ばなければならない。 提案受諾は二重の自殺 最初に、2つの極端なシナリオを対比しておこう。債権者の最終提案を受け入れるか、あるいはユーロ圏から去るか、だ。提案を受け入れることで、チプラス氏は6カ月以内に国内総生産(GDP)比1.7%に相当する財政再建に同意しなければならない。 筆者の同僚のマーティン・サンドゥブは、そのような規模の財政再建がいかにギリシャの成長率に影響を与えるか試算した。筆者は債権者が要求している通り、丸4年間の財政再建策を盛り込むよう、この試算の範囲を広げてみた。 双方向のプロセスである財政政策とGDPの相互作用に関してサン
1年前にロシアのサンクトペテルブルクで開催された国際経済フォーラムに集まったロシア内外の企業数百社の幹部たちの大半は激しく動揺していた。 ロシアのクリミア併合に反発した米国と欧州が、多数のロシア政府高官やロシア企業に対してビザ発給停止や資産凍結といった措置を取ったうえに、さらに広範な制裁もあり得ると脅しをかけてきたからだ。 どの参加者も、事態はどこまで悪化するのかという疑問を口にしていた。 この「ロシアのダボス会議」が今週再び開催されるが、参加者の多くは、昨年に比べればこの疑問に落ち着いて答えられるようになっている。 ロシアは昨年7月に始まった幅広い分野での制裁――ロシアの多くの大企業に対する西側諸国での資本調達の禁止、欧州や米国からの軍事製品および軍事・民生両用製品の販売制限、ある種のエネルギー取引の禁止など――をもう1年近く切り抜けてきているからだ。 ロシアで事業を行う欧米の企業にとっ
(2015年6月12日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 世界の債券市場における大きな転換は、投資家のポートフォリオを大混乱させる。だが、実体経済にとって、それは必ずしも悪い知らせではない。そのことは、ドイツの10年物国債の利回りが6月上旬に1%超まで跳ね上がった最近の混乱にも確実に当てはまる。価格と逆の動きをする利回りの上昇は、インフレ率上昇の見通しと一致する。 このため、ドイツ国債の利回りを筆頭とした世界的な利回りの急上昇は、明るい物語を語っているのかもしれない。 つまり、欧州が危険な日本式デフレ不況に陥りつつあるという不安が和らいでおり、市場が米連邦準備理事会(FRB)の利上げに備えて――ゆっくりと――準備しているということだ。 債券市場が暗闇を見て取っている場所に、ほかの人たちは明るい光を見るかもしれないのだ。 重要なことは、債券市場が物語を正しく理解しているかどうかだ。特にFRB
南シナ海の南沙諸島(スプラトリー諸島)のミスチーフ礁で、中国が進めているとされる埋め立て工事を軍用機上から撮影した写真〔AFPBB News〕 南シナ海で奇妙なことが起きている。中国は過去18カ月間で、2000エーカー(約8平方キロメートル)の土地を埋め立て、水面下の砂礁や岩礁を完全な「島」に変えた。中国による埋め立ての取り組みは、他国、特に近隣のスプラトリー(南沙)諸島に対する領有権を主張するフィリピンとベトナムによる埋め立てを圧倒する規模だ。 中国は埠頭や港、数階建てのビルも建設している(もっとも、国際サッカー連盟=FIFA=のサッカー競技場はまだない)。 スプラトリー諸島のファイアリクロス礁では、中国政府が自由に使える、あらゆる軍用機に対応可能な全長3キロの滑走路を建設した。 活発な活動を受け、警鐘が鳴り響いている。今月、フィリピンのベニグノ・「ノイノイ」・アキノ大統領は東京で行った
昨年、トルコの首都アンカラ郊外に新築した大統領公邸の内部に立つレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領〔AFPBB News〕 一方には、12年にわたり10回連続で選挙に勝った、才能に溢れ、時として改革派の政治家がいる。 もう一方には、スルタンになりたいと思っている、傲りと妄想に取りつかれた人物がいる。この人物はトルコ人を家父長の私財――いわゆる「我が国民」――として扱い、この国がエルドアン氏とトルコを貶めているという巨大な陰謀を撃破すると語っていた。 昨年、首相から大統領に転じたエルドアン氏は、6月7日の総選挙の対象者ではなかった。だが、有権者が放ったメッセージは、同氏に向けられたものだ。 エルドアン氏率いる公正発展党(AKP)は、憲法を改正し、議院内閣制から大統領が行政権を持つ大統領制へ移行できるだけの絶対多数を得られないどころか、過半数さえも失うことになった。大統領制へ移行すれば、エ
経済史の重要な分岐点は、ごくたまにしかやってこない。優れた政治家が意を決して取り組めば、一国の経済が進む航路を若干変えることはできるかもしれないが、大きく変えられることは非常に少ない。ましてや、全く新しい方向に進ませることなど、まず無理だ。 新時代の到来を示唆する断絶の瞬間は、半世紀に1度ぐらいしか訪れない。 思えば、フランクリン・D・ルーズベルト大統領が米国経済を不況から引っ張り上げたのは1930年代のことだ。 英国のマーガレット・サッチャー首相と米国のロナルド・レーガン大統領の下でインフレスパイラルが制御されたのはその50年後のことだった。 安倍首相が手にした大きなチャンス 日本の安倍晋三首相は、このえり抜きの政治家のリストに名を連ねるチャンスを手にしている。 安倍氏が政権を握った時、市場は文字通り大喜びした。日本がデフレによる停滞から脱出するまで、制限を設けずに金融を緩和すると約束し
バブルはいろいろな形で現れる。しかし、興味深いのは、容易でない経済の移行を推進しようとする時に副産物として発生するケースが非常に多いことだ。実際、1920年代末期の米国株式市場の上昇は、それまで英国が担っていた世界の覇権国としての役割を引き継ぐ方向に米国がよろよろと歩みを進めていた時期のことだった。 1980年代の日本で不動産・株式バブルが発生したのも、先進国に追いつく局面では非常によく機能した輸出主導の成長モデルが経済大国になったことで有効性を失った時のことだった。 今日の中国も同じである。最初に発生した不動産バブルと始まって間もない株式バブルは、投資主導の経済成長から消費の比重が大きい経済成長に移行しなければならない経済における不均衡と大いに関係がある。 そのような移行は容易ではない。なぜなら、既得権益と衝突するからだ。 あえて投資家を煽る中国当局 中国の地方政府の幹部たちは、インフラ
どちらの首相も、自国と欧州連合(EU)との関係を変えるよう求める権能を国民から民主的に託されたと言っている。 どちらの首相も、他の欧州諸国はギリシャのユーロ圏離脱や英国のEU離脱というリスクを冒すことはせず、自分たちの要求をのんでくれるだろうと読んでいる。 しかし、チプラス氏もキャメロン氏も欧州諸国の反発に直面しており、下手をすると、2人がぜひとも避けたいと思っている事態――「Grexit(グレグジット)」と「Brexit(ブレグジット)」――に至りかねない。 ギリシャも英国も、自国の総選挙の結果を根拠とする主張が28カ国から成るEUで通用するのには限界があることを思い知らされた。自分は欧州に改革を求める権能を民主的に託されたとチプラス氏が述べた時、ドイツのヴォルフガング・ショイブレ財務相は「私だって選挙で選ばれている」と応じたと言われている。 大きく、複雑になり過ぎたEU しかし、欧州を
テーブルには、今、2つの提案がある。1つは債権団からの提案、もう1つはギリシャからの提案だ。2つに共通していることは、どちらもギリシャ経済を修復しない、ということだ。双方はうわべを取り繕うことさえしていない。どちらの提案も、きっぱり拒絶されるべき代物だ。 欧州の実務家が長い交渉に入ると、常に、技術的な詳細に没頭してしまい、本質的に大きな構図を見ることができなくなる。 彼らは2016年のプライマリーバランス(債務の利払い前の基礎的財政収支)の黒字が国内総生産(GD)比1.5%であるべきか、それとも2%であるべきかという議論に何週間も費やしておきながら、一見、自分たちのさまざまな予想の誤差がプライマリーバランスのこの小さな差より何倍も大きいことに気づかないようだ。 経済外交を担う人々は事の本質、すなわち、ギリシャがユーロ圏内で存続し、いずれ繁栄できるようにするという協議のそもそもの目的を見失っ
日本の安倍晋三首相が進める経済改革、アベノミクスの効果は、活発な議論の的になっている。2012年の安倍首相就任以来、まずまずの経済成長とインフレ率の上昇が見られた時期も何度かあったが、いずれも長続きしていない。 2015年の日本の国内総生産(GDP)の伸び率はわずか0.8%で、消費者物価指数は0.6%の上昇(コア指数はさらに低い0.3%)にとどまると予想されている。 アベノミクスの影響で明らかに変化しているのが、円の価値だ。2012年末時点では、円は1ドル=87円で取引されていた。それが6月第1週に、1ドル=125円台まで値下がりした。30カ月で30%以上下落したことになる(次ページの図1参照)。 この円安の原因となっているのが、新たに円を生み出して資産を買い入れる日銀の大規模な量的緩和(QE)プログラムだ。日銀は年間80兆円(6440億ドル)の紙幣を印刷している。 円安に泣く他の輸出国
(2015年6月8日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) インドのナレンドラ・モディ首相とバングラデシュのシェイク・ハシナ首相は、両国の入り組んだ国境線を引き直すことで正式に合意した。これにより、双方が相手国の領土内に数々の飛び地領土を持つ事態に至った歴史の歪みを正す。 「我々は、独立以来、なかなか消えなかった問題を解決した」。モディ氏が週末にダッカを訪問し、両首脳が批准された条約文書を取り交わした際に、同氏はこう語った。「我々2カ国は境界線を画定した」 インド政府は、バングラデシュ領の奥深くにある111カ所のインドの飛び地(総面積1万7160エーカー)を、インド領内にある51カ所のバングラデシュの飛び地(同7110エーカー)と交換する。 こうした飛び地には約5万1000人が住んでいる。居住者はこの地域でも特にないがしろにされてきた人々だ。住民の地位が確定しておらず、どちらの政府も物的インフ
スイスフランやユーロは高額紙幣があるため、米国などより現金を保管するコストが低くて済む(写真はスイスフラン紙幣 (c) Can Stock Photo) スイス年金基金協会(ASIP)によると、その理由は、年金基金が普通の口座に資金を置いておくだけのために銀行にカネを払うことにうんざりしており、預金をごっそり引き出すことを検討しているからだという。 マイナス金利というアリスの不思議の国にようこそ。ここは、中央銀行が低インフレの見通しを恐れるあまり、借り入れコストをマイナスまで引き下げ、口座の収支を黒字にするために事実上、金融機関から利子を徴収する「あべこべ」の世界だ。 政策立案者は、この課金によって、銀行がまだマージンがかなり大きい家計や企業向けの融資を増やすことを期待している。 預金に利子を徴収される世界 今年3月、ユーロ圏では3年ぶりに企業向けの融資が増えた。だが、マイナス金利は、銀行
米国の当局者は、中国に我慢できなくなっている。ジョー・バイデン副大統領は5月22日、無遠慮だった。バイデン氏は、海軍兵学校の卒業生らに対し、大国間に「新たな断層線」が生じていると警告した。中国は、係争中の岩礁の上で「大規模」に土地を埋め立てることで、南シナ海における航行の自由に挑戦していると述べた。 米国はその2日前、中国が滑走路を建設している岩礁の近くに偵察機を飛ばすことで、自国の苛立ちを示す合図を送った。 そうした隠密飛行はよくあることだが、今回は違った。 偵察機はCNNの取材班を同乗させ、その取材班が、中国海軍が無線通信を通じて英語で発信した、憤慨した反応を放送したのだ。「判断ミスを避けるために、直ちに退去せよ」という内容だ。 「このままでは戦争は不可避」 中国の当局者と国営メディアは、米国の口頭での攻撃(中国の浚渫船によって海底から砂が吸い上げられ、建設中の島にまかれる様子をCNN
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