その町では、どんなに冷たい日でも、どんなに暗い夜でも、ふとした瞬間にぽっと心が温かくなることがある。 そして人々は、その心の温かさを「愛」と呼んでいた。 でも、その「愛」がどこから来るのか、誰も知らなかった。 ある日、町に住む少年ユウキは、その「愛」の正体を探しに出かけることを決めた。 ユウキは少し変わり者で、友だちもあまりいなかったけど、好奇心だけは誰にも負けなかった。ユウキは決めた。 「この町に溢れる愛がどこから来るのか、僕が見つけるんだ!」 ユウキは町の人々に話を聞いた。 お菓子屋さんのおばさん、図書館の司書さん、学校の先生、誰もが同じように言った。 「愛がどこから来るかなんて、誰にもわからないよ。ただ、ふとした瞬間に感じるんだ。」 ユウキは諦めずに、もっと遠くまで足を伸ばして、町外れにある森に向かった。 森には古い木が何本も生い茂り、昼間でも薄暗かった。でも、ユウキは恐れなかった。