※本稿は、エッセイアンソロジー「明日のパン」(ノオトBOOKS)に収録されたコラム「明日のパン」の謎〈前編〉です。 大阪や兵庫、京都など、広域関西圏の家庭では、夕暮れ時から夜にかけて、主に「オカン」が高頻度で口にする定番のフレーズがある。 「あ、明日のパン買っとかな」 「出かけるんやったら、ついでに明日のパン買こうてきて」 明日のパンとは、翌日の朝ごはんで食べるパンを指す。関西人にとっては、呼吸と同じくらい無意識に、毎日のように使われる日常語である。一方、非関西圏の方にとっては、やや奇妙な響きを持つ言葉だろう。 なぜ、単に「パン」ではなく、「明日の」を付けるのか。 なぜ、前日に必ずパンを買っておかないといけないのか。 なぜ、毎日のように「明日のパン」を心配するのか。 SNSでは、10年以上前からキーワード「明日のパン」がちょいちょいバズり、数年前にはTV番組『秘密のケンミンSHOW極』(読

