〈問い〉 日本軍の戦死者の6割が餓死だったというのは本当ですか?(神奈川県・一読者) 〈答え〉 アジア太平洋戦争において戦没した日本軍人・軍属の総数は約230万人にのぼります。その過半数は、戦闘行動による戦死ではなく、食糧が補給されないために起きた飢餓地獄の中での野垂れ死でした。この事実は、歴史学者である故・藤原彰氏が『餓死(うえじに)した英霊たち』(青木書店・01年)で実証的に明らかにしました。 自らも中隊長として中国大陸を転戦した経歴を持つ藤原氏は、大量餓死をもたらした日本軍の体質を明らかにし、この無残な死に対して直接の責任を負う日本の軍事指導者を告発するために、この本を書いたといいます。 近代初期の日本の戦争研究のなかに餓死の研究はなく、死因別統計もありませんでした。このため、藤原氏は、南方関係の資料や兵士の手記などを丹念に調査し、地域別に戦死者中の餓死者数を割り出しました。 餓死の