前にも言及した、著名な社会学者による新書だが、アマゾンのレビューで批判的なものが多い。個々の論点はそんなに間違ったことを言っているわけではない。明らかにこれは文体の問題である。そういう意味で、宮台氏も時代の空気からズレはじめたんだなということをつくづく感じる。 宮台氏の頭の中には、どこかに「知の最先端」の世界があって、それを知らないと「恥ずかしいこと」になっているらしい。しかし今は、こういう読者に対する無知への劣等感や強迫観念を動員して人を説得しようとする手法自体が、もはや完全に効力を失っていると考えるべきである。むしろ、高度な知の世界の憧れが完全に消失してしまったどころか、それを顕示すること自体が非常に「恥ずかしい」ことになっている。宮台氏ともあろう人が、そのことに全く気づいていないのが正直がっかりである。 レビューで「わかった上での戦略的振る舞い」という擁護があったが、そもそも今はそう
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