無限の経済成長は「非科学的なファンタジー」 私は2017年に上梓した『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』において、ビジネスにおける意思決定があまりにもサイエンスに傾斜するようになっていることで、かえってビジネスが矮小・脆弱になっており、人間性に根ざした感性や直感をビジネスに回復させることの重要性を指摘しましたが、こと経済・社会に関する認識については、この傾向が明らかに逆転していると感じています。理由はシンプルで、「無限の成長」という考えは「非科学的なファンタジー」でしかないからです。 たとえばピケティが指摘する通り、世界経済の成長率がこの先2%の「低調なペース」で推移したとしても、世界経済の規模は100年後には現在の7倍に、300年後には370倍に、1000年後には3億9000万倍になっていなければなりません。 仮にこの成長率を、多くの人が望ましい水準と考えている4%まで引き上