(英エコノミスト誌 2009年11月7日号) ベルリンの壁が崩壊してから丸20年。その間、経済的自由の進展は常に、政治的自由の進展に先んじてきた。どちらの自由も所与の権利と考えてはならない。 「分割された欧州の中の分割されたドイツ、さらにその中で分割されたベルリン。ほかならぬこの場所で、冷戦が突如、東西入り交じっての街頭祝典へと変わった」。本誌(英エコノミスト)は20年前にこう報じた。 西側の最終的な勝利を確信していた人にとってさえ、ベルリンの壁の崩壊は、驚くほど偶発的な出来事だった。 ハンガリーが国境の開放に踏み切ったことに乗じて、20万人の東ドイツ人が西側に逃れた時、東ドイツの共産主義政府は、国民を拘束していた出国規制を緩和することを決めた。 詳細を知らされていなかった広報担当の政治局員は規制変更の実施時期を問われ、「私の知る限り、即時発効だ」とつぶやいた。この発言がテレビで放映される