症例は44歳,女性.2007年2月に統合失調症に対し服用中のリスペリドンを3 mg/日に増量した頃より口渇が生じ,3月4日全身痙攣,血糖値2089 mg/dlにて,糖尿病性非ケトン性高浸透圧昏睡と診断した.同薬を中止し,インスリン加療を開始.治療経過良好にて,退院後は食事療法のみとなった.7月より妄想が出現しペロスピロンを開始した.12月にアリピプラゾール6 mg/日を追加したところ,5%台前半であったHbA1cが2008年1月25日受診時8.4%となった.外来でインスリン治療を再開するも血糖コントロールの改善なく,3月1日入院となった.当初,30単位/日のインスリンを要したが,アリピプラゾール中止後速やかに使用インスリン量が減少し,再び食事療法のみで血糖コントロール可能となった.米国精神医学会治療ガイドラインでは,アリピプラゾールは糖・脂質代謝異常を来たす危険性がない,あるいは治療域で稀