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ブックマーク / lleedd.com (9)

  • 山中俊治の「デザインの骨格」 » 「失われたものの補完」を超えて

    写真は、開発中の女性用義足のモックアップです。現時点ではあくまでもイメージモデルであり、まだこれで歩くことはできませんが、これをトリガーとして開発を進めようとしています。開発に協力してくれている女性は、板バネの義足を使って走るアスリート。きれいな人なので、足を作るのも緊張します。 義足は紀元前の昔から作られてきました。ただの棒のような物も多く使われて来ましたが、一方で、常に物に似せるべく芸術品に近い物も製作されました。義足は失われた下肢を補完するものであり、その目的には、歩行機能の回復だけでなく外観の回復も含まれているのです。 作り方が近代化したのは第一次世界大戦直後。大量の傷病兵に対応しなければならなったヨーロッパで、それまではひとつ一つ手作りだった義足製作がシステム化されます。パーツはモジュール化され、金属パイプと量産の接続パーツを組み合わせて、低コストで大量に作られるようになりまし

    yuiseki
    yuiseki 2011/11/16
  • 山中俊治の「デザインの骨格」 » ジェームズダイソンアワードのお知らせ

    今年の夏は、ダイソンの羽根のない扇風機がたいへん良く売れているそうですが、そのダイソン社の創業者である、ジェームズ・ダイソンの名を冠した国際アイデアコンテスト(デザインコンペ)をご存じでしょうか。その名も「James Dyson Award 」。実は今年から私がこのコンペの審査をお手伝いすることになりました。 このコンテストの第1の特徴は、テーマが毎年同じで「問題を解決するデザイン」であること。デザイナーでもあり発明家、起業家でもあるジェームズダイソン氏は、美的センスと技術センスの両方をもつ人材を、デザイン・エンジニアと呼びます。まさにこのコンテストは未来のデザイン・エンジニアのためのデザインコンペ。「ちょっとかわいいかも」とか「こんなのあってもいいでしょ」というようなアイデアではなく、「この問題を解決しました」という硬派なアイデアを求めています。 もう一つの特徴は応募資格。「現在または過

  • 山中俊治の「デザインの骨格」 » 「かたちだけの愛」を義足のデザイナーとして読んでみた

    平野啓一郎さんの「かたちだけの愛」を読みました。 この小説の主題は「愛」なのですが、主人公は、交通事故で片足をなくした女優と、その現場に居合わせて彼女のために「美しい義足」を作ろうとするプロダクトデザイナー。実際に義足をデザインしているプロダクトデザイナーとして、少しばかり感想を書いてみたいと思います。 結論から言うと、とてもリアリティがありました。 <以下少々ネタバレ注意> お話の中のデザイナーの生活や創作プロセスは、プロの目から見てもなかなか臨場感があります。いくつかの架空の商品やプロジェクトが登場しますが、どれも魅力的で、実際に形にしてみたいと感じるものばかり。アイデアが生まれたばかりのときの曖昧さと不安、徐々にかたちになっていく時の高揚感、人に使ってもらうときの喜びなど、共感できる所がたくさんありました。 特に義足のデザインについての問題点の指摘は、我々がいま進めているプロジェクト

    yuiseki
    yuiseki 2010/12/20
  • 山中俊治の「デザインの骨格」 » あらためてSuicaの話でもしようか その1

    Suicaの開発プロセスについて触れておきたいと思います。すでにいろいろなところでしゃべったり書いたりしたことなので、ここでは裏話的に。 ことの発端は、1995年にJR東日の非接触自動改札機(まだSuicaという名前はなかった)の開発担当者が、私のところに相談に来た所から始まります。ICカードを使う改札機については、すでに10年以上研究されており、技術的にはほぼ現在と同じレベルに近付きつつありました。 しかし、実際に試作してテストしてみると、ちゃんと通れない人が半数近くに登りました。特に実験に参加した重役達の評判は悪く、「私のは5回に一回しか通してくれない。2割バッターだ」などと、開発部長が会議の席で罵倒される場面もあったりして、開発中止直前に追い込まれていたそうです。 原因はある程度分かっていました。お財布ケータイやセキュリティカードに慣れた現代の皆さんなら、カードを当てる場所はすぐに

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    yuiseki 2010/11/26
  • 山中俊治の「デザインの骨格」 » 愛のインボリュート・ギア

    歯車というと、多くの人は三角のとんがりを円周に沿って刻み付けた、いわゆるギザギザの円を思い浮かべるでしょう。しかし実を言うと、私たちの身の回りによく使われている歯車のほとんどはそうなっていない。歯車を三角の歯で作ると、ちょっとした不都合があるのです。 二つの歯車のお互いの歯が三角だとしましょう。まっすぐ向き合っている時は斜面と斜面がぴったり合っているので問題ありません。しかし、歯車が動いて離れて行くときに、その尖った先端が他方の歯の斜面をこすります。歯と歯が出会うときも同じです。少し引っ掻くだけなのですが、時計の歯車のように毎日何百回も出会い続けたり、エンジンのように一分間に何千回も出会う歯車では、お互いに少しずつ削り合って、徐々に大きな損傷になります。 そしていつの間にか隙間ができて、ごつごつと衝突するようになり、ますますお互いを傷つけ合って壊れてしまいます。毎日の小さな衝突が、積もりに

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    yuiseki 2010/11/10
  • 山中俊治の「デザインの骨格」 » 慶應義塾大学山中俊治研究室の作品「flagella(鞭毛)」

    大学と言うところは面白いところだ。機械工学を学んだこともなく、機械加工の経験もない大学院生に、作るべきものの意義を話し、スケッチを渡しただけでできてしまうものもある。 上の文章は「骨」展のカタログ用に、山中研究室の作品について私が書いたコメントです。ちょうど1年前、慶應大学SFCに来たばかりの私は、大学院生ふたりに「骨」展の企画を話し、私が思い描くロボットの簡単なスケッチを渡しました。そして、いくつかの機械設計のと、何人かのロボットの専門家を紹介し、とにかく自分でやってみるように指示しました。 もちろんそう簡単に進むはずはありません。何から手を付けたらよいのかわからない日々が3ヶ月はあったでしょう。その間私は、無責任にただ言い続けたのです。 「びびるな。ともかく図面を引いて、金属を加工してみろ。」 今、多くの人に助けられて、彼らの設計したマシン「flagella(鞭毛)」は最終段階を迎え

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    yuiseki 2010/04/03
  • 山中俊治の「デザインの骨格」 » 空気が乾く

    坂井直樹さんのブログで見事な水滴の写真が紹介されていたのでそのまま拝借。 子供の頃、「湿度70%」が不思議でした。「空気中に含まれる水分の量」と聞いて、空気全体の七割が水なのだと思ったのです。すると当の空気は3割しかない!。そんなに水が空中にあったら溺れちゃうかも。中学生になって、空気が水蒸気を抱え込める量には限界(飽和水蒸気量といいます)があって、その限界に対して、70%なのだということを知りました。だから湿度100%でも溺れる事はないと。 さて、暖房を入れたりストーブを焚いたりすると「空気が乾いて、喉が痛くなる」と感じる人はたくさんいるでしょう。ヒーターでタオルを乾かすように、熱が水分をどこかへ飛ばして空気そのものを乾かすイメージがありますが、考えてみると妙です。タオルの場合は水が空気中に逃げていく、でも空気を乾かすといっても、水の行き場がないし。 ではなぜ乾くのか。実は。気温が上が

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    yuiseki 2010/02/06
  • http://lleedd.com/blog/2009/07/31/halluc-ii/

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    yuiseki 2009/08/09
  • 山中俊治の「デザインの骨格」

    チタンという金属はとても貴重なものだと思われています。でも実は、地球の表面付近にある元素では9番目に多い元素で、銅の百倍ぐらいあるんだとか。チタンは金属の中でも特に非強度が高く(軽くて強い)、硬いのに折れにくく、酸にも強く、海辺にあっても錆びない、人の肌に触れてもアレルギーを起こさないなど、いわゆる生活用品や建材として最適の特性を備えた、金属の優等生です。にもかかわらずご存知のように、使われているのは高級時計やゴルフのヘッド、航空機の部品など、高級品や高機能部品ばかり。理由は高価だから。ふんだんにあるのになぜ高価なのでしょう。 問題は作るのが難しいということです。自然界には酸素をはじめ他の元素と非常に強固に結びついた状態で存在するため、引きはがして純チタンにしようとするとエネルギーを大量に使います。ようやく純チタンを手に入れても、硬くて粘りがあるので削るのも曲げるのも難しく、高熱では酸素や

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    yuiseki 2009/04/06
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