本の紹介253: ジャガイモの世界史―歴史を動かした貧者のパン―、 伊藤章治 著、 中央公論社 (2008) ISBN978-4-12-101930-1 2008年は国連の 「国際ジャガイモ年」 である。「発展途上国における食糧としてのジャガイモの重要性についての認識を高める」 ことを目的に、「国際ジャガイモ会議」 など、さまざまな国際会議も予定されているという。やせた土地でも冷涼な気候でも生育し、栄養価の高いジャガイモは、世界の多くの人々を養い、歴史上の大きな場面で重要な役割を演じてきた。ジャガイモはまさに、新大陸発見の最大の贈り物ともいえよう。しかし 「貧者のパン」 といわれているだけあって、ジャガイモをめぐる歴史は暗い歴史でもある。 国際的な穀物価格の急騰 (きゅうとう) が貧しい国の人々に襲いかかっているいま、4大作物の一つであるジャガイモをめぐる世界史を振り返ることは、日本や世界