この章では判別分析の原理と結果の解釈方法、診断率との関係、そして各種の変数選択手法とロジスティック曲線について解説します。 9.1 判別分析の原理 (1) 群の判別 判別分析(discriminant analysis)は重回帰分析と並んで利用頻度の高い多変量解析手法です。 この手法は各種のデータに基いて人や物などを特定の群に判別したり、判別に影響を及ぼすデータを探索したりする時に用いられます。 例えば虚血性心疾患患者群と正常群について各種のデータが測定されている時、そのデータに基いてある人が虚血性心疾患であるかどうか診断したり、虚血性心疾患の診断に影響を与える検査項目を探索したりする時がこれに相当します。 そのため病気の診断を必要とする医学分野では、重回帰分析よりもむしろ有用性の高い手法と言えるでしょう。 第6章 表6.1.1の脂質異常症患者についてのTCとTGのデータを動脈硬化症患者に