私が真の哲学者に感じるのは、一種の「暴走感覚」だ。ニーチェの暴走感覚はまた格別だが、フロイトやフーコーにもそれを感じる。日本では、なんと言っても九鬼周造だろう。私は、日本の哲学者では彼にいちばん才能を感じるのだが、それは私が九鬼の暴走に惚れ込んでいるからにちがいない。 九鬼の代表作のひとつに『「いき」の構造』がある。 「いき」の構造 他二篇 (岩波文庫) 作者: 九鬼周造出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1979/09/17メディア: 文庫購入: 15人 クリック: 50回この商品を含むブログ (90件) を見る 九鬼は「いき(粋)」とは何かを哲学的に考察する。九鬼によれば「いき」とは、「媚態」というものが、武士道にもとづく「意気地」と、仏教にもとづく「諦め」によって、完成させられたものだ。九鬼曰く、「いき」とは「垢抜けして(諦)、張りのある(意気地)、色っぽさ(媚態)」である(29頁
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