ブラック企業にせよ、異常な就活戦線にせよ、あらゆる労働問題のキモは「そんなん言うなら辞めます」と労働者が言えないことだ。マクロでの処方箋は、人手不足を引き起こすほど景気を加熱させること。ミクロでの処方箋は、企業に頼らなくても生きていけるよう収入源を分散させること。これしかない。 そもそもブラック企業とは何だろう? 様々な定義があるだろうが、私は次の3つの条件を満たす企業のことを言うと考えている。まず社員の自由を奪うこと。そして社員の権利を侵害すること。さらに社員の人格を否定することだ。 不況時には、すべての企業が多かれ少なかれブラック化する。 まず確認したいのは、雇用契約が労使の対等な立場で行われるとは限らないことだ。たとえば研修として新卒社員を軟禁するのは明らかな自由の剥奪だ。が、よほど懲罰的な研修を行わない限り、単なる軟禁状態が問題視されることはない。なぜなら「新卒社員は自由な選択肢の