ブックマーク / mereco.hatenadiary.com (3)

  • 珊瑚石のお墓 - 沙東すず

    「島の死生観が感じられる場所です」と、自転車を借りたときにもらったパンフレットに書いてあったので、日が落ちる前に行っておこうとペダルを踏んだ。なかば義務感だった。 この島に来る船で飲んだ酔い止めで逆に体調を崩し、着くなり半日寝こんでしまってからというもの、なにもかも調子がおかしい。日最西端、当のさいはての島は奇岩奇勝で知られているが、それはつまり日にはじめてたどり着く黒潮がどこまでも荒く打ち寄せ、人頭税の負担から逃れるために妊婦を飛ばせたという断崖絶壁が高くそびえる、とても厳しい土地だった。前にいた島の夕暮れの湾の長閑さ、潮の退いた砂地にしゃがんで息を殺して感じたシオマネキやハゼやガザミの無数の気配がとても懐かしく感じられた。 帰りの船はあとふたつ寝ないと来ないが、まだ民宿には戻りたくない。布団は毎日律儀に三つ畳みに直されているが、特にシーツを替えているわけではない。それはいいとして

    珊瑚石のお墓 - 沙東すず
    yukariego
    yukariego 2015/05/26
    この頃ざわついていた気持ちが落ち着いた。すごい。
  • 月桃とすばらしい日々 - 沙東すず

    那覇のビジネスホテルを朝早く出て、モノレールと飛行機と空港バスと船とバスを乗り継いで、ついにわたしは南の島にやって来た。 海の前の民宿に荷物をおいて、カメラを持って外に出る。バスに乗ってきた道路のまわりに、さらに別の集落と行き来するための小さな港、いささか大きな小中学校、一軒の商店といくつかの民家と民宿があるだけで、道路の先はマングローブが茂る河口を前に消えている。昼下がりの道には人通りもほとんどなく、南国の草花がぼうぼうと伸びていた。 港のそばの空き地につながれたヤギが、必死に草をべようと首を伸ばしている。よく見るとヤギは、つながれた植え込みを何周もしてロープのレンジをみずから狭めており、すでに手の施しようのないがんじがらめぶりだった。 民家の塀から月桃(ゲットウ)の花がのぞいているのを見つけた。ちまきのように硬く閉じた葉の先から、先が紅く色づいた白いつぼみの房が出てきて、やがてひとつ

    yukariego
    yukariego 2015/05/24
  • 「ときめき昆虫学」発売されました! - 沙東すず

    先日自ブログや、イースト・プレスの告知ページにてお伝えしましたとおり、2冊めのとなる『ときめき昆虫学』が4/6(日)に発売されました! ときめき昆虫学posted with amazlet at 14.04.07メレ山メレ子 イースト・プレス 売り上げランキング: 387 Amazon.co.jpで詳細を見る あらためての中身を見てみましょう(前の告知ページのときはじつはカバー見しかできておらず、束見という厚さや紙質を再現したものにカバーをかぶせた状態で撮影していました)。これはネムリユスリカという、幼虫が無代謝の仮死状態になって乾季をやり過ごす不思議な虫の復活シーンです。 クラフト紙で作られた番外編もこのとおり!とっても気に入っています。 虫の紹介ページに、切り取って使える虫はんこ蔵書票も! カバーを外した表紙にも、銀インキの虫たちが。虫はんこはひよこまめ雑貨店さんの作品です。

    「ときめき昆虫学」発売されました! - 沙東すず
    yukariego
    yukariego 2014/04/08
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