たとえば離れた国で戦争などの悲惨な出来事が起こったとき、ニュース速報が次々と出され、私たちはそれに釘づけになる。しかし、それも長く続けば、危機的出来事そのものの重大さは変わっていないにもかかわらず、「もうその話はいいよ」と人々が思ってしまうことも多い。 こうした無関心は、「危機疲れ」から生まれる。これは人間の性質からして必然である一方、乗り越えることも大切だ。米ノースダコタ大学の哲学教授が、原因と対策を解説する。 人々の関心はやがて薄れる 2022年2月24日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナへの全面侵攻を開始した途端、世界中の人々が戦争の光景に戦慄した。戦争から遠く離れていても、ウェブで記事を読んだり、攻撃から逃れて地下シェルターに駆け込むウクライナ国民の姿をテレビで見たりして、私たちはこの不当な攻撃の恐ろしさをひしひしと感じてきた。 侵攻開始から半年が過ぎたいまも、攻撃