小説ではないですが、大変面白かったので書評を書かせていただきたいと思います。 世の中には様々なプロ競技がある。例えばゴルフで圧倒的な賞金王が誕生したと言っても、半分以上の大会で一位を取っていないだろう。爆発的に数回優勝する選手もいれば、コンスタントに上位をキープする選手もいる。しかし「全大会優勝」などという偉業はまず達成されないだろう。またマラソンに至っては連続して大会に出ることがまずない。選手は遠い先の大会に合わせてコンディションを整え、全ての大会の中から数個だけに出場する。有力選手同士が同じ舞台で競わないまま競技人生を終えることすらあり得よう。 将棋はどうだろうか。将棋はだいたいのプロが全てのタイトルを取るチャンスを持っている。負けさえしなければタイトルがとれるのだから、非常に簡明に一番になることができそうな気もする。また、一度タイトルを取れば防衛すればいいので、七番勝負なら三番、負け