敬称略でお届けします。 「きみの書いてるのはラノベじゃないよ」 私のことをそう喝破したのは、水野良。 ラノベの始祖からそう告げられた瞬間、「痛いところを突かれた……」と思った。 吸血鬼の始祖から「いやお前は俺の血族じゃねーし」みたいに言われるようなもので、否定などできるわけがない。 デビュー作を除けば、私の作品は「特定の題材を取材し、それをキャラクター文芸に翻訳したもの」ということになる。 帆船、農業高校、将棋……題材はどれもニッチだ。 敢えてそういうものを選んだのだから当然だが。 水野はこうも言った。 「ラノベは、前提知識が無くても楽しめるもの。だからこそ多くの読者を獲得してきた。けれど白鳥くんの書いてるものは前提となる知識が必要だろう。それでは限界がある」 「だからきみの書いてるのは、ライトノベルじゃないね。まあ、ライト文芸的かなとは思うが」 この出来事は、水野が私に「ラノベ作家として