牛肉の仕事をするようになり、業界の重鎮のような方々と意見交換をするようになって、そうした人の口からよく出てくるのが「昔の牛肉はおいしかった」という、ため息交じりの言葉だった。私は青果業界でも仕事をしているので、同じように「昔のトマトは青臭くてうまかった」というような言葉をよく耳にしてきた。ただし野菜の場合、大概の場合はノスタルジーであって、客観的にみれば今のほうが味わいが深く濃くなっているというものが多いような気がする。 しかし、牛肉に関しては本当に「昔のほうがおいしかった」のかもしれない。なぜなら現在出回っているA5の牛肉は、ほんの20年前にはとうてい存在しえなかった、まったくの別物なのである。 前回記事(黒毛和牛「A5は、農家を守るための策だった」)では、牛肉の等階級を決める格付けについて解説した。その格付けにおいて評価されるのは大きく分けて2つ、「肉の歩留まり」と「肉質」である。肉質
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