最近のロンドンの集合住宅には、エントランスが二つある。一つは一般住民用、もう一つは“貧乏人専用”の入り口だ。 住宅不足が深刻なロンドンでは、集合住宅を新規に建てる場合は、低所得者向けの住居を一定戸数設けることが条例により義務付けられている。たとえば市中心部の外れに建つあるマンションは、ワンルームの販売価格が50万ポンド(約8700万円)は下らないという高級物件。だが、同じ棟の34%は低所得者向けに賃貸されている。 この物件を借りて住んでいるシングルマザーの女性は、引っ越してきたとき、正面玄関の使用禁止を言い渡されて驚いたと話す。正面玄関は大理石のタイル張りで、コンシェルジュが24時間体制で待機している。 一方、この女性が指定されたのは低所得者用の玄関。俗にいう「貧者のドア」だ。テナント搬入口が並ぶ脇道に面した薄暗い空間で、監視カメラが設置され、設備を破損した者は訴えると警告する張り紙がある
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