■サイゼリヤは「レストランで働く人たちの理想郷」 その日の夜、僕は今までの自分の行動を振り返りました。今までに修業してきた店では、厳しい職人の世界と言えば聞こえはいいけど、不条理で不合理なやり方がまかり通っていました。本当は、僕はそんな世界が大嫌いでした。 だからイタリアに渡り、8年間がむしゃらに働いて誰にも文句を言われない世界を勝ち取った。でも、いつしかそんな思いは忘れてしまっていた。僕も先輩たちと同じように、スタッフに丁寧に仕事を教えないし、「黙ってオレの言うことを聞いていればいいんだ」的な考えに支配されていました。 その結果、スタッフは委縮していつまで経っても仕事を覚えられないし、僕の顔色を窺うようになっていました。ピリピリしたスタッフたちがお客様の前で喧嘩(けんか)して、それが不快だったというレビューがグルメサイトに投稿されたこともありました。 僕は、それはスタッフのメンタルが弱く