おひとりさまが「がん患者」に……遺品の手帳に記されていたこと「仕事をしていかないと、死ぬっていうこと」 妹は、浦野さんがこう言っていたことを覚えています。 「仕事をしていかないと、死ぬっていうこと。お金がない人は死ぬっていうことだよね」 浦野さんは、医療の進歩に期待し、治療することをあきらめていませんでした。故郷の新潟を拠点とする舞踊団を世に出そうと応援していたり、がんが悪化した後でも放送大学に入学してメンタルヘルス系の勉強をしようとしていたりしていました。 一方、単身者は、医療費だけでなく、自分の生活費も工面していかなければなりません。 本人の貯蓄には限りがあります。民間保険は、初めて見つかったがんの治療には手厚い保障があっても、転移したがんの治療には保障が薄い場合があります。 別家計を営む家族からの支援を誰もが受けられるわけではありません。特に女性のがんの好発期は、老いた両親の老後と重