日本で新型コロナウイルス感染症による死者が欧米と比べて少ない理由のひとつとして、BCGワクチンが挙げられるのではないか──。そんな仮説を裏付ける可能性がある論文が、このほど世界最高レヴェルの学術誌『CELL』で公表された。論文によると、BCGワクチン接種には、ウイルス性呼吸器感染症全般に対する保護効果があるのだという。いったいどんなメカニズムなのか。 新型コロナウイルス感染症(正式名称はCOVID-19)が2019年12月に中国の武漢で初めて報告されて以来、これまでに世界で約2,650万人もの感染者が発生し、そのうち約87万人が命を落とした。現時点では、新型コロナウイルスに対して予防効果が期待できるワクチンはまだない。 こうしたなか、世界的に注目されていた結核のワクチンであるBCGワクチンの呼吸器感染症全般における保護効果が、医学・分子生物学・生化学の分野における世界最高峰の学術誌である『